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音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。
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Title:UFFOO
Artist:べろシティ。
Release:2012/10/28


-Track List-

01. 恋に恋してる
02. ノウカレ
03. UFFOO
04. 太陽通牒
05. イエロー・ミュージック
06. Let Me Down
07. HP:0/10 MP:-/-
08. 鳥兜
09. No More Surfin'
10. 声かけよう
11. 君には期待してない
12. スーパーフリー

-Total 42:00-



 オルタナ的轟音とポップネスを掻き鳴らす同人音楽随一の奇才ユニットのべろシティ。はやはり凄かった!他とは違う!!そう断言せざるを得ない程に更に凄味を増した超名作『UFFOO』をリリースしてくれた。当社でべろシティ。の名を出すのはかなり久しく、それもその筈、本作は前作1st『NOODLE』から3年振りの発表となっている。前作は当社2009年BESTやかつて寄稿した『同人音楽.book 2010』で紹介した程に気に入っている傑作で、内に秘めたる熱いロック・スピリッツのガチっぷりやクールな作風の味わい深さにグイグイ惹き込まれたものだ。その根底に在ったのは紛れも無く“ホンモノ”のロック・スピリッツだった。


◆べろシティ。の幻想

 「ルーレットとして遊べるYO!」音盤や「1円玉しか受け付けませんYO!」音盤とか「新作あるけど売らないYO!」音盤だとか、べろシティ。は人を楽しませる同人音楽随一のエンターテイナーの側面がある、非常にユニークなサークルでもあると私は思っている。しかし、それは時としてキワモノイロモノとして映ることもあるだろうが、それは全て狡猾な彼らが作り出した幻想だ。瞳がーーでっかくなっちゃったー!!的な最新鋭のプリクラ技術と同じくらいの幻想なんだ。幻想を振り撒く道化師の仮面の奥に隠された素顔はガチのロッカーだ。べろシティ。の幻想は強烈なギャップとして作用し、“ホンモノ”っぷりを更に際立たせる。


◆べろシティ。の狂気

 ガチのロック作品であった“ホンモノ”を感じさせる『NOODLE』からシフトする本作もやはり“ホンモノ”を感じさせるロック作品に仕上がっている。それも新たなベクトルで「ロックとは何か?」を提示している。多面的で在りながら直線的で在る独自のアイデンティティを以って「ロックはこうやって演るんだよ!」「ロックはこうやって歌うんだよ!」と言わんばかりの生々しい狂気が伝わってくるのだ。ここが“他とは違う!”


◆DELTA氏のサウンドメイキングが狂気

 べろシティ。は同人音楽界隈の中でも一際同人らしい立ち位置に存在するのだが、その立ち位置に対して掻き鳴らす音が“同人らしからぬ音楽”で、言わばオルタナ的でガレージ的な魂の燻りを感じさせる“ホンモノ”のロックだ。この絶妙な感性が滅茶苦茶面白いなぁと思うんだ。その絶妙な感性が新たなベクトルで提示するロックは、前作以上にガチのロックで生々しい狂気が剥き出しになっている様に感じる。その要因となるのがDELTA氏によるサウンドメイキングだ。これが本当にキレッキレで、最高にテンションが上がる!

 まず前作について振り返ると、あの頃からガレージ的な生々しいガチのサウンドだった。が、ある意味ガチ過ぎて良くも悪くも綺麗に纏まった良質なロック作品と言ったところに落ち着いていた。勿論アレはアレで傑作たる良い出来栄えだったよ?しかしね、本作は本当に凄いんだ。何がって、生々しさ自体がガチになっちゃったんですよ。小さなハコで体感する様な、あのライヴでしか味わえないロックが纏うブルージーな空気感が本作にある。シンプルに削ぎ落とした荒々しくもスマートな楽曲、バッキングとヴォーカルの生々しいミックスバランス、ひとつのライヴをパッケージングする様に施されたマスタリング、そういったサウンドメイキングから総じてDELTA氏の狂気をヒシヒシと感じるんです。怖い!すげぇ怖いよ!!この人超マジだよ!!


◆そう、本作は擬似ライヴ・アルバムだ

 DELTA氏の狂気から生まれたガチの生々しさの正体はロックのライヴ感そのもの、と言うことが本作を#01「恋に恋してる」~#12「スーパーフリー」まで聴き通せば容易に理解することは出来るだろう。それだけ徹頭徹尾肉薄した生々しさが溢れているんだ。

01. 恋に恋してる ~ 03. UFFOO
 ブルージーな口笛から始まり、アコースティック・ロックでクールに導入していくオルタナ・ロック「恋に恋してる」は後半に浮森かや子嬢のアトモスフェリックなコーラスを配し、ボコーダーを通じて怪しい語り、奇抜な開幕でガッツリ心を掌握する。奇妙な余韻を帯びる曲間無しで続く「ノウカレ」は同じ2:41でブルージー、ソウルフルなガレージ・ロックで熱く畳み掛けてくる。そして、タイトルトラックである「UFFOO」はガチのロックンロールから繰り出す凄まじい熱量を以ってストレートに畳み掛けるアッパーチューンで、僅か1:53に熱い魂が宿っている。これ、本当にライヴだったらもの凄い盛り上がるよ。

04. 太陽通牒 ⇒ 05. イエロー・ミュージック
 強烈な3連打で勢いに乗る序盤から絶妙なタイミングで刺すのが「太陽通牒」だ。あのもの凄い熱気から一転、ここで一気にクールダウン、この絶妙な感性が本当に素晴らしい!DELTA氏の鬼才っぷりがここに現れている。アンニュイなムードと8ビートで紡がれるブルージー且つポップネスを漂わすオルタナティヴ・ロックで、間の配し方、中盤からのエレクトロニカの挿入、大きな起伏がない淡い表層の奥に宿す燻ぶる魂、トータルしてセンスの塊としか言いようがない。そして、エレクトロニカ・アンビエンスなシューゲイザーの「イエロー・ミュージック」で更にクールダウンと来る。浮森かや子嬢のウィスパーとノイズのレイヤーも相まって、音空間による包まれ感が非常に心地いい。

06. Let Me Down ~ 09. No More Surfin'
 休憩はここまで、中盤から終盤へ再びヒートアップしていくのが#06「Let Me Down」から#09「No More Surfin'」までの4連打だ。軽快な跳ねのリズムとポップな歌メロで駆け抜けていくアッパーチューンの「Let Me Down」では、緩急の妙が光り、身体を揺さ振りながら頭をブンブン振り捲くれる快感がある。特にツー・コーラスのレッミー・・・ゴー!のタメと直後の開放感が滅茶苦茶気持ち良い!「HP:0/10 MP:-/-」はどっしりミディアム・テンポで構えながらも気だるさを帯びたロックンロールで、2:41でブレイクを挟むと突如ダーティーなギター・リフで荒々しく雪崩れ込んでくるのが特に印象に残る。あ、ゲームオーバーってそういうことね。で、ブルージーなアコースティック・ロックの「鳥兜」が味わい深くて良いんだなぁ。渋いムードを突き破る狂気が快感だ。浮森かや子嬢による狂気のシャウトにも鳥肌が立つ。そして、荒々しく捲し立てるバッキングとミスリードなグルーヴ感で畳み掛けるハードコア・パンクスな反骨精神剥き出しの「No More Surfin'」から溢れるダイナミクスに打ちのめされる。拡声器を通した様なノイジーに篭った粗いシャウトがまた良いんだな。楽曲展開も無駄が無いスタイリッシュな感性が光っている。

10. 声かけよう
 フィナーレを迎える前にちょっと休憩、モノトーンなミックスが施されたサーフ・ロックの清涼感が実に良い。ツー・コーラス後の粋なインストを抜けると、モノトーンだった音像に色彩が宿り、ノイジーなギターの轟音リフで拓けていく展開が堪らない。いやぁ巧い!

11. 君には期待してない
 冒頭の同人誌のカットが云たら何たら~の男女のシュールな会話がまず印象的なのだが、それを通過して鼓膜に飛び込んでくるのはブラック・ミュージックばりのグルーヴ感で刻まれる極太のギター・リフだ。こりゃあ堪らんっ!リフに重なる渋いブラス音がまた楽曲の黒さを助長していて良いね。味わい深いギター・ソロを支えるバッキングがこれまた凄くて、ずっしりと構えた重厚感と黒いグルーヴ感が腹にドスっと響く。この感覚が本当に気持ちいい。そして、最高のグルーヴに乗る拡声器を通した様なソウルフルな肉声がストレートに突き刺さる。“ホンモノ”のロック・スピリッツがビンビンに伝わってくるんだぜ!!

12. スーパーフリー
 ラジカセのスイッチを入れる様なSEで始まるラストトラックはアコースティック・バラードで、ドリーミーな音色も相まって心にスッと染み入る心地良さがある。と、同時に少しの寂しさを感じさせる辺りがとてもニクい。沈鬱なリリックと同時に突然の終わり告げられるのも非常に印象的で、余韻にまで狂気が潜んでいたかと改めて恐怖を感じる。

Extra ダンスパーティーver1.1
 本作には収録されていないが、公式サイトの特設で13曲目に配されている。アンコール的なポジションだと思う。と、言うのも前作に収録されていた楽曲だが、ミックスのバランスが本作寄りで施されているんですよね。特にヴォーカルに現れてるかな。やはり、原版よりもライヴ感があって良いムードが漂っている。これで本当に最後かと思うと、感極まって泣けてくる。この曲、こんなに良い曲だったんだな(何を今更

 さて、この楽曲が何故音盤に収録されていないか、だ。初めから収録しておけよ、そんな意見もあるやもしれん。だが、それ言うのはナンセンスなんですねぇ。まず、本作は12曲でパッケージングされている。とりあえずは、これでちゃんと完結しているんだ。で、アンコールっつーのは再演を求める声だ。もしも、12曲を聴き終えても尚べろシティ。にOne More Time!を求めて、再び公式サイトに足を運んでくれるのなら・・・そんな熱心なリスナーへのアンサーとして特別枠を設けているんだと私は思う。まぁ、こう綴ってしまうと回りくどい事している様にも見えなくも無いが、彼らにはそれをやる意味があるんだ。何故なら、本作は彼らにとって3年もの歳月を費やした最高傑作だからだ。自信作を提示して、それで見向きもされなければそれまで、と割り切る覚悟もあるのだろう。そう、最初から我々は彼らに試されているのだよ。有り得なくも無い話なんだ。だって、彼らはガチのロッカーと同時に同人音楽界隈随一のエンターテイナーなのだからね。


◆DELTA氏のリリシズムが狂気

 前作を聴いた時も確信したが、やはり私はDELTA氏が綴るリリックが大好きなんだ。ユーモアであったり、シュールであったり、ゆるふわ的であったりね。かと思えば、ガチで反骨精神が滾っていたり、剥き出しの刃になっていたりで、詞世界の振れ幅は非常に広い。それから、言葉の並べ方や韻の固め方、言葉から発せられる音のリズム感、この辺りは奇才でありつつも鬼才だなぁと感心している。音になったときに気持ち良いんだよね、彼のリリックは。そして、狂気を宿す音を導き出す狂気を孕んだリリックでもある。本作で特に印象に残っているのが「太陽通牒」で、太陽を主とした俯瞰の視点で綴られているのが面白い。面白いが、それと同時に狂気の翳を内包していて、太陽が見守ってくれている筈なのに全然安らぎが得られず、不安と焦燥しか湧いてこないスリリングさがヤミツキになる。それからもう一つ印象に残っているのがバラードの「スーパーフリー」だ。このタイトルとリリックの意味合いが合致したときの恐怖ったらない!≪きみはハッピーになりたくて ハッピーになれなくて≫でバツンと途切れる恐怖ったらない!!そこから本作が「恋に恋してる」から始まる理由に辿り着く訳ですが、嫌だなーホント怖いわ。。。


◆浮森かや子嬢のヴォーカルワークが狂気

 で、あの狂気のリリックを歌うのが浮森かや子嬢な訳ですが、いやぁ彼女は本当に凄いよね。彼女もまた鬼才である。自身のサークル「幼蚕文庫」を始めとした彼女参加の楽曲は色々と聴いてきましたが、やはりべろシティ。で歌う時だけは特別だなと思う。恐ろしいことに何かが彼女に憑依するんだよね。持ち味の豊かな表現力でポップもロックもブルースもヒップホップだってなんでもござれ!と言った感じで何でもこなしてしまう力が彼女にはある。その力に何かが憑依するんだ。特にロックを歌わせた時の何かが憑依したとしか思えない自己陶酔っぷりが半端無い。言葉の発音、強弱抑揚のキレ、絶妙なリズム感覚、反骨精神をしっかり魂に宿した吐き捨てヴォーカルにシャウト混じりの叫び、全てが憑依合体からくる自己陶酔によって更に上のレベルに押し上げられている。そりゃもう狂気沙汰ですよ。DELTA氏の狂気の感性とケミストリーを起こした彼女にロックを歌わせたら右に出る者はいませんぜ?最もロックが似合わない素敵なハッピースマイルが印象的な彼女が最もロックが様になってるとかね、末恐ろしいことですわ。。。


◆べろシティ。の解体…「こ~い~しちゃったんだ☆」

 そんなこんなで本作がいかに名作で、その作者達がいかに狂気に満ちているか、をだらだら述べた訳ですが、この奇跡とも言える究極のユニットは本作を以ってピリオドが打たれるようです。即ち、べろシティ。の解体、事実上の解散である。うん…え?なな、なんてこったい!!その後、DELTA氏はどうするのかというと、「恋に恋する」のではなく「恋に生きる」そうだ。そっかぁ、最近活動休止を発表したYUIよろしく誰かに「こ~い~しちゃったんだ☆」ね。で、たぶんじゃなくその事に気付いてしまったんだね。そっかそっかぁ、幸せになってくれよっ!!(なんだそれ


◆総括:「同人音楽よ、これがロックだ。」

 どっかの映画ネタよろしくこの一言に尽きます。「ロックとは何か?」…彼らの生き様、魂を以って『UFFOO』で提示している。最高傑作、自信作、生半可な作品ではない、そう自画自賛するだけの事はある!はっきり言って2012年の同人音楽ロックで群を抜いて最高傑作と称しても過言ではありません。最後の最後にとんでもない怪物作を残していったよ。ありがとうべろシティ。!本当にありがとう!ロックの素晴らしさを教えてくれてありがとう!!おや?なんだろうこの気持ち…どうやら私はべろシティ。に「こ~い~しちゃった☆」みたいだ。べろシティ。惚れ直したよっ!!

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竜美 悠(You Tatsumi)
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