音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。
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昨年2016年は『君の名は。』『映画 聲の形』『この世界の片隅に』と3大ヒット作が誕生した程度にアニメ映画豊作の年だったと思う。どれも良いところ有り惜しいところ有りと、ロングラン上映作品となったのも頷ける大衆性に秀でた作品たちだったと思う。
そんな2016年の最後、東映アニメーション60周年記念作品である『ポッピンQ』という作品を観た。殆ど話題になっていない……というか全く話題に上がらないと言っても過言ではないこの作品(映画館空席の絶景を観れば言わずもがな)、わたくしは大好だ。感想の第一声でシンプルに"大好き"と言い切れる作品に出会えたことが何よりも嬉しい。キャラが可愛くて楽しくて、でもちょっとほろ苦くて頑張れ!と背中を押したくなる、ある世代にはとても刺さるノスタルジーにも浸れる正にわたくしにとってストライクの作品だった。
あらすじ
通過点でしかないと思っていた卒業式を目前に控え、
中学3年生の伊純は前に進めずにいた。
そんなとき、海で、美しく輝く"時のカケラ"を拾った伊純は、
不思議な世界"時の谷"へと迷い込む。
そこで、同い年の、蒼、小夏、あさひ、
"時の谷"に住み、"世界の時間"運営をつかさどるポッピン族と出会う。
"時の谷"と"世界の時間"が今まさに崩壊の危機に瀕していた。
危機を脱するには、伊純たちの持つ"時のカケラ"を集め、
心技体を一致させたダンスを踊り、祈りをささげるしかないという。
迫りくる危機と、初めてのダンス、ポッピン族のダンス指導に戸惑う伊純たち。
そんな中、ダンス経験者の沙紀が現れるが…。
"時のカケラ"に導かれた5人はダンスで世界を救えるのか?
そして、無事に卒業できるのか?
前に進むための、少女たちの物語がはじまる…。
―公式パンフレット STORYより―
異世界に導かれた少女たちが力を合わせダンスで世界を救う、と物語はシンプル。
劇場CMでもダンスシーンを推していたので、ダンスはこの作品の見所の一つと言えます。
ファーストインプレッション
この作品を観た直後に思い浮かんだのがニチアサだったんだ。ニチアサっていうのはニチアサキッズタイムの事を言うんだけど、わたくしが感じたニチアサ感はその愛称が付くよりもっと前の時代、『おジャ魔女どれみ』が放映されていた1999年~2003年だ。冒頭で話した"ある世代"とは調度この頃が思春期だった世代のことを指す。つまり、わたくしと同世代の人だ!(ぇ『ポッピンQ』ニチアサの伝統をアップデートしたかのような出来映え。小夏ちゃんみたいな眼鏡+黄色担当の存在はおジャ魔女ノスタルジーが蘇ってきて心地良かった。
— 奄美大嶋 (@yoh_tatsumi) 2016年12月24日
ここでノスタルジーが蘇る引き金となったのが友立小夏という眼鏡の女の子で、変身して衣装が変わっても眼鏡が外れない、それだけでもう素晴らしい!と思ったさ。キャラクター原案を手掛けた黒星紅白先生、流石"わかってる"と頷いたものでした。
おジャ魔女×デジモン+プリキュア
『ポッピンQ』は60周年記念作品と謳っているものの特別真新しいことはやっていない。この辺りは鑑賞する前から想定済みで、故に良い意味で特別驚く内容ではなかったし、望んだ通りわたくしがかつて好きで夢中になっていたモノが現在の技術を基に結集して帰ってきたなぁと。『デジモン』で総作画監督を務め『プリキュア』のCGを担当した宮原直樹を監督に据え、『おジャ魔女』で原作を手掛けた東堂いづみを原作に迎えたスタッフ構成を見ただけでもにんまりしちゃうし、そりゃあこういう作品が出来上がるよねってさ(笑
例えば『おジャ魔女』シリーズを彷彿とさせるキャラクターのパーソナルカラーの配色、小夏ちゃんの存在は勿論のこと、最後に仲間として輪に溶け込む紫担当の都久井沙紀のカリスマ性とコミュニケーションにやや難有りな感じから蘇る瀬川おんぷちゃん的なポジションににんまり。
元の世界と"時の谷"の時間進行のスピードに差がある設定は『デジモン』シリーズ、特に無印『デジモンアドベンチャー』が蘇ってきて、近年のニチアサで不足していたジュブナイルSF感をここで復活させたのも嬉しい。同位体と呼ばれるポッピン族がヒロインたちのパートナーとなって助け合うというのも、選ばれし子供たちとデジモンの関係を彷彿とさせ懐かしく心地良い。あと、伊純変身後で頭に付けてるゴーグルってキャラデザ。あの頃の赤系主人公ってやたらゴーグル装備してたよねってここでもにんまり。
また見所の一つとして力を入れていたダンスシーンなんかはもう『プリキュア』シリーズで磨き続けた技術の結晶だ、知ってはいてもやはり凄い。二頭身のポッピン族を可愛くコミカルに躍らせたり、ダンス初心者のヒロインたちを下手くそに躍らせたり、挿入歌と共に華やかに舞うシーン以外にも見所がたくさんあって良い。
黒星紅白の起用
15年以上前のニチアサ感の話に関してはわたくしがオタクになる前の話で、オタクに一歩足を踏み外すきっかけとなった人物のひとりが黒星紅白先生だ。かつて『サモンナイト』と出会いその手の沼に堕ちて今があるワケで、黒星紅白キャラクター原案という言葉は強い訴求力を持つ(逆にオタク以外にはどうなんだろ?とも思う)。黒星紅白キャラが動く、観る以外の選択肢なんかない。元々プリキュアのファンアートも多く描かれていた事もあり、その辺りから縁が繋がっていったのではないかと勝手に妄想していたが、パンフレットのインタビューでもその辺りの事が触れられていてクスりとさせられた。とりあえず、先述した2名に加え黒星紅白先生を起用って個人的にもう最強のパーティーで観に行かない理由が存在しない。サンキューニチアサ♪
黒星紅白先生が描く5人のヒロインは言わずもがな、どの子も魅力的だ。
どこぞの女が廃る宜しく真っ直ぐな小湊伊純
クールな頭脳派黒髪美人の日岡蒼
おっとりマイペースな音楽少女の友立小夏
控えめな武闘派少女の大道あさひ
ミステリアスでカリスマのあるダンサー都久井沙紀
全員可愛い。同位体なるパートナーのポッピン族も可愛い。全部可愛い最高だ、キャラ萌え(死語)にとってココは楽園だ。
個人的に推しているのは大道あさひちゃんで、小柄な身体で最前線に立ち、柔道と合気道の合わせ技で敵を華麗に捌いていく姿が滅茶苦茶キュートなんだ。彼女観たさにもう一度作品を観たいと思ったくらいに大好きだ。サンキュー先生♪
Pop in Q:前に進むための…
ここで『ポッピンQ』の入り口を軽く記しておく。
陸上の大会で結果が出せなかった事を引き摺ったまま卒業式当日を迎えた伊純は、電車通学中に寄り道、見覚えのない海に出会し砂浜で"時のカケラ"なる輝く物体を拾う。登校時間が危ういことに気付き、慌てて駅に戻り自動改札にカードをタッチすると異変が起こる。自動改札を通った先は駅のホームではなく全く見たこともない異世界だった。
こういったシークエンスは異世界冒険物のクリシェ故に珍しいモノでもない。それよりも彼女たちは何故異世界に導かれたのか?だ。それは、少しだけ寄り道が必要だったから。
表題の『ポッピンQ』について少し考えてみる。
タイトルロゴの下に小さくPOP IN Qとある。
Pop in は立ち寄る。結構軽い感じ。
Q は色々。
例えばQuetion<問い>
或いはQuest<探求>
ロゴのQを時計に見立てている所から<時の谷>とも取れるか。
幾つか複数の意味を内包しているのではないかなぁと思う。
彼女たちは卒業式に向かう途中で、少し<時の谷>に<立ち寄る>ことになった(まぁ、立ち寄った先で様々な試練が彼女たちを待ち構えている訳ですが)。
従って、POP IN Qは"ちょっと自分探しの冒険"が作品の主題的に妥当かな。
またダンスで世界を救うことから、ダンスのPopping<ポッピング>も外せない。
それぞれ悩みを抱えた5人のヒロインが前に進むために用意された舞台、それが『ポッピンQ』だ。
僅かな時間でも大きく成長する10代の凄さ
"時の谷"という異世界で偶然か運命か、導かれた5人は感情をぶつけ合い喧嘩したり理解し合ったり、それぞれの得意分野を活かして助け合ったり、そうした過程で絆を深め他人から仲間或いは友達へと変わっていく。『ポッピンQ』は悩み多き思春期真っ只中10代の伸び代の大きさや無限大の可能性があること、所謂10代の凄さってやつを青春ストーリーで以て伝えてくれる。ダンスにおいても抜かりなく、OPで披露した完成されたダンスシーンは単純にやっぱすげぇなぁくらいだったのが、クライマックスの主題歌ではキャラの成長をしっかり表現していて違う味わいがあった。
父兄の気持ちになるですよ
壮大な冒険で過ごした異世界での共同生活も現実の時間に換算すればほんの僅かな時間で、それこそ5分や10分程度のちょっとした人生の寄り道に過ぎ無い。しかし、彼女たちにとって自分の弱さとちゃんと向き合う尊い時間だったに違いない。それは心を通わせた仲間と共に"時の谷"の危機を救い、現実世界に帰還した彼女たちの晴れやかに澄んだ表情を見れば一目瞭然。ちょっと照れくさいけど勇気を出して素直に「ごめんなさい」と「ありがとう」が言えるようになった伊純が特に印象に残っていて、清々しい気分にさせてくれた。
そして、キャスト5名の合唱による卒業ソングテイストのED曲「さよなら。ありがとう。」に染み染みと聴き入っていると、大きく成長した彼女たちに「卒業おめでとう」という言葉が自然と口に出ていた。まるで自分が父兄であるかのように。そう、我々は彼女たちの青春物語を観ていたと思ったら、いつの間にか卒業式の父兄席へと導かれていたんだ。
「お前は誰だ?」
「大道あさひの父兄です」
父兄の着ぐるみはありませんが…
父兄の気持ちになってみたい人は観てみると良い作品です。
良くも悪くも東映らしい詰めの甘さもあったりしますが、まず好きな人には"間違いない"作品ということだけは言えます。『おジャ魔女』も『デジモン』も好きでリアタイで観てたよ~ってアナタ、黒星紅白先生のプリキュア二次創作ではなくて東映アニメオリジナルが観てみたいと願っていたアナタ、多分…いや、絶対好きなやつです。是非観ましょう。
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管理人
竜美 悠(You Tatsumi)
サンキュー!
アラーイさーん♪
島に転職しました。
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