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音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。
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Title:大罪少女の十字架刑
Artist:AIHISNA
Release:2012/8/11


-Track List-
01. 世界の盈ち虧け
02. 少女が愛した死の欲動-Destrudo-
03. 少女の切ない夢物語
04. 憂鬱少女の深層心理曲
05. 大罪少女の十字架刑
06. 魔女の躁鬱晩餐会
07. 愁色少女の死生観
08. 夢見心地

-Total 30:35-


 JRPGはお好きですか?私は大好きです。恐らく理解出来ないでしょう。ただただ只管レベル100を目標に経験値を稼ぐだけの、所謂作業ゲーと呼称される時間の無駄とさえ断言できてしまうアレが私は大好きなんです。現実(リアル)では何も達成してもいないのに、何故か妙に満たされる達成感、それが良いんです!!おまけに戦闘のBGMがイケメンだったりすると、それをヘビロテする事が目的にすり変わるなんてことも多々あってね、無駄な作業ゲーも尚更楽しめてしまうというポジティヴ・ループに突入するのです。

 無駄を楽しむのが趣味みたいな前置きはさておき、今回当社が紹介するのはM3-2012春で処女作『少女の理想世界』を発表したシンフォニック・ゴシック・デス・メタリ~ックでネオジャパネスク・ファンタジック・ロールプレイングゲーム・ミュージックみたいなナニかを奏でる同人音楽サークルAIHISNAの2作目となる『大罪少女の十字架刑』だ。全ての楽曲を手掛けるかがやみ氏のルーツはイトケンに桜庭先生にFalcom Sound Team jdkらしく、この並びはどこをどう見ても私のツボにドンピシャな訳で、更にツーバスをドコスカ、ブラストをバカスカ打ちまくると言う、ドンピシャもドンピシャだった訳です。そして、アートワーク全般を手掛けるかぶ氏が描いたこの青々とした美しいジャケットが好き過ぎて、私のあらゆる感性(ツボ)をほぼ大体知り尽くしている(適当だな)本作は、もはや買わない理由が見当たらなかったほどだった。


01. 世界の盈ち虧け
 前作1stに収録されていた『夢の終わり』で聴けたチェンバロ小曲が楽曲全体に絡んでくるようになったという変化点が、眩暈を起こす程にギラつく美しいチェンバロが響くイントロですぐに理解できる。イントロだけで眩暈を起こすなんて、随分と久しい感覚でとにかく美しい。そう、これが私が愛する”北欧様式美の息吹“、私の故郷の風!(?)そして、様式美メロスピ・ゴッドの如く超疾走さ。こりゃもう言うこと無しですよ。ツーバスとブラスト、バッキングリフの弾丸とチェンバロの乱舞が織り成す“美の螺旋”がドリルとなって私のツボを抉るのだ。AIHISNAが私を殺りにきている気迫をひしひしと感じる。


02. 少女が愛した死の欲動-Destrudo-
 シンフォニックな美旋律の洪水と激烈なバッキングで少女の無意識下に在る死の欲動を描いたシンフォニック・ブラック/デス的な音像で、主旋律/対旋律を乱舞するストリングスが特に激しく、ブラストのトップスピードに乗った時のアグレッションが凄まじい。個人的に1:54辺りからのパイプオルガンとDjentリフ的無機質な刻みで生まれる邪悪なグルーヴ感が好きだ。


03. 少女の切ない夢物語
 キャッチーで変拍子な実に“あざとい”可憐なメロディーを奏でるキラキラ輝くシンセが特に印象的で、楽曲に良いポップネスを与えている。バッキングはツーバスがドコスカ鳴るメロスピで主旋律はストリングスが踊る。しかし、聴き進めていくと分かる人は分ってしまう、この楽曲の根底に疑いようもないイトケン・ソウルが流れていることを(笑)ロマサガ~サガフロの黄金時代を彷彿とさせるボス戦のBGM、あのプログレッシヴながらに渋い哀愁が漂うアレが、ここにある。笛のか細い音色も哀愁だだ漏れでね、確かな存在感があるんだ。後半戦、2:52辺りからシンセが担当していたメロディーをストリングスが担当していたメロディーを、全てギターが支配する3:30までが聴き所で、歴代ボス戦で聴いた時に感じた胸の高鳴りを、アノ哀愁を、アノ感動をここで再び味わうことが出来て非常に嬉しい!本作のキラーチューンは疑い様も無くコレで確定だ!


04. 憂鬱少女の深層心理曲
 邪悪に蠢くリフと激烈ブラストで疾走する、主旋律がストリングスという点を除けばほぼデス・メタルと言っても差し支えないだろう。ストリングスで奏でるメロディーは壮大で、デス・メタル本来の邪悪さ暗黒さを打ち消している。メインとなるパートはメロディアスで、中盤変拍子を交えた複雑な展開も魅せる。が、メロディーでもリフでも何かしらフックが欲しいと思った。トータルでは綺麗に纏まっているが、何かが足りない感は拭えない様に感じた。少女の深層心理、無意識下の水底に映る筈のThanatosがはっきりとは視えない。。。


05. 大罪少女の十字架刑
 イントロからパイプオルガンの厳かかつ妖艶なムードを纏いながら疾走する、ゴシック・メロスピの本作タイトルチューンで、まさに特別なイベント中に起こるであろう強大なボスクラスとの戦闘の様子が妄想できる。スクウェア黄金期をリアルタイムで体感していれば感動も鳥肌度も3割増し。ミディアム・テンポのパイプオルガンで上昇、ブレイク、ストリングスを主軸にツーバス&ブラストで雪崩れ込む超疾走の展開は緩急ヲタの私には堪らんですたい!


06. 魔女の躁鬱晩餐会
 表題に“少女”の文字が並ぶ本作中で唯一“魔女”を冠する事に違和感を覚える。これは#5で大罪を着せられた少女が磔の後、彼女の魂かグリーフシード的なナニかが魔女化したとか、そんな物語の繋がりでもあるのか。真意はさておき、精神的に不安定な魔女よろしくプログレッシヴなシンフォニック・メロスピで表現している。特にイントロの邪悪なリフが好きで、ミディアムからファストへリズムチェンジとホラーなクワイアと共に疾走する様が非常にツボだ。ストリングスの刻みやベードラ、ブラストの分厚い音像の中で埋もれることなく輝きを放つ確かな哀愁イトケン・ソウルにニンマリ(笑)チープな音色なのがまた余計にニヤリとさせられる。相変わらず激烈ブラストのお蔭でトップスピードに乗った時は馬鹿速いが、細やかな緩急付けにハイとローを織り交ぜたプログレッシヴな展開で中々聴かせる。


07. 愁色少女の死生観
 “魔女”を挟んで再び“少女”という訳で、少女の魔女化が解かれたと見るか。憂鬱だった少女は磔に遭い、死して魔女となり暴虐の限りを尽くし、呪縛が解かれようとも、彼女の表情は未だに愁色に染まっていて。そんな彼女が死の深遠から視た生の概念とは、みたいな結末だろうか。作中で最もメロディアスなシンフォニック・メタルに仕上がっていて、規格外の爆走感は鳴りを潜めているが、ベードラのミディアム・テンポでのグルーヴ感は非常に良い。私が大好きなハープを導入しているのも高ポイントだが、この楽曲の最大の聴き所はコーラス・パートのストリングスとグロッケンのユニゾンによる美麗な響き。フックのあるメロディラインを疾走感のあるバッキングと共に美しく踊る様が素晴らしい。


08. 夢見心地
 魂の救済、悲哀の音色を奏でるピアノで魂を鎮める2分弱のレクイエム小曲。少女よ、暫し幸福の楽園を堪能した後、安らかに眠りたまえ(誰


◆本作の物語をどう見るか・・・
 「JRPGのサウンドトラック的な音楽作品」という前提で本作を見る場合、各楽曲が個別に独立したオムニバス形式である、と見た方がしっくり来るだろう。現にアートワークには4名の少女が描かれているんだし(表に3名、裏に1名描かれています)、そう考えるのが妥当だと思う。が、どうにも#6だけが“魔女”なのが引っかかる。インスト作品であるが故に、考察の材料などアートワークか表題くらいしか無く、かなり無理があるのだが。。。ただ、楽曲の表題をヒントの材料としたならば、ある少女の一連の物語のようにも視えてくるのだ。また、少女が魔女化しただの云々ぼやいたが、結局は少女自体がそもそも魔女であると言う可能性もあるよね。≪少女の深層心理≫=≪死の欲動≫=≪Thanatos≫とキーワードを並べてみると、うん、何か匂うね(ぇ)そもそも、魔女だから適当な罪着せられて磔の刑に処された、数々の魔女系物語を参考文献にすると大体そこに落ち着く感じでしょう。


◆音楽的には・・・
 上記の様にとりあえず適当に物語を妄想したりはしているものの、音楽的にはそこに物語を決定付けるヒントは無い。楽曲だけを抽出して見れば、前作同様本作は「JRPGの戦闘系の楽曲だけを集めたサウンドトラック的な音楽作品」だ。それもボスクラスと対峙した時なんかに流れる様なシリアス且つアグレッシヴな音像で、時には悪役から哀愁も滲み出ている。従って、トータルで見ても物語性を内包した音楽作品集という風には感じられない。だから、本作から音楽的に物語を想像妄想するにはやや無理があるようも思う。何故なら本作はあくまでも「ボスクラスの戦闘系楽曲を集めたサウンドトラック的創作音楽作品」なのだから。そこには別にそれが良いか悪いかは存在しない。妄想するには結構無理があるが、音楽的には本作は好きです。


◆総括として・・・
 本作はあくまでもゲーム音楽的な同人音楽作品だ。通常のJRPGサウンドトラックでは在り得ないであろうデス・メタリックなエクストリーム要素有りの音像を聴くと、主旋律がリードギターではない事にメタラーは違和感や物足りなさを覚えるだろう。しかし、そうした場合、それはもはやゲーム音楽ではなく、ただのメタルに成り下がってしまうのです。オフィシャルに上げられている音源を聴く限り、かがやみ氏はメタルではなくゲーム音楽にメタル的な要素を持ち込む事を信条としている様に思うので、主旋律はギターではなくストリングスで良いんです。ストリングスである事によって見事にゲーム音楽的に仕上がっているんだし。
 次回作以降に望むことと言えば、2作連続で戦闘系楽曲集を発表してきたので、ここらで一つじっくり腰を据えて、得意の戦闘系楽曲も含めファンタジックな世界の様々なシーンを彩る楽曲集みたいな作品を作ってみて欲しいなぁと思う。既に新曲としてオフィシャルサイトで発表している『はじまりの村』や『楽しいイベント』がその布石となるかもしれない?とか勝手に期待しております。
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管理人

竜美 悠(You Tatsumi)
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