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Title:運命/ワンダフル スマイル(新井ひとみと松島湾子)
Artist:東京女子流
Release:2013/6/5


-Track List-
01. 運命
02. ワンダフル スマイル(新井ひとみと松島湾子)
03. ふたりきり -Royal Mirrorball Mix-
04. 運命(Instrumental)
05. ワンダフル スマイル(新井ひとみと松島湾子)(Instrumental)
06. ふたりきり -Royal Mirrorball Mix-(Instrumental)

-Total 31:47-



 女子流ちゃんこと東京女子流は私にとって間違いなく音のアルカディアの頂点だった。しかし、それも『運命』までの話だ(これについてはまた別の機会にお話しよう)。現とは果てしなく鉛色に染まった生き辛く鬱屈とした世界だが、せめて夢の中だけは白と黒がはっきり分かれていても良いのではないか。そうやって白と黒のコントラストで歪な幻想を視せてくれる東京女子流というグループはやはり私にとって貴重で心地の良い存在だ。2013年BEST最有力候補『約束』より約5ヶ月振りのリリースとなった『運命』は、ブラックネスとイノセンスの二面性が強く打ち出された東京女子流らしい逸品だ。


~Phase 4 『運命』~

 Phase 3の集約『約束』を経てNEXT女子流への序章となる『運命』は相変わらず黒いグルーヴが複雑に絡み合う強烈な楽曲だ。3rd JAPAN TOUR 2013 『約束』での先行披露で感じた印象は、正直に言ってらしさはあるが地味だった。が、聴けば聴くほど楽曲の強度、味わい深さに気付くにはさほど時間は掛からなかった。ただ、何故『運命』なのか?を語る術、導き出す術が私には無く、暫く沈黙を貫くしかなかったのだ。なぜならば運命とは明確な根拠を以て語らなければ完成しないのだから。
 『運命』は≪東京女子流サウンドのど真ん中≫と自ら語り、我らがべーやま隊長こと山邊未夢がNJS(ニュー・ジャック・スウィング)と形容している。確かに、悪の華こと『Bad Flower』の様なやや駄長気味で退屈ならしくないロック・サウンドから、ブラックネス/ファンクネスを強烈に打ち出し、仄かにポップネスを加味した東京女子流のオリジンへと回帰している印象が強く、楽曲の強度は相当に高い。まずはサウンド面からNEXT女子流はオリジンへの回帰と見ていいだろう。ただ、それだけでは根拠が足りない。もう少し探究してみようか。
 ここで何故『約束』からの『運命』なのか?がポイントとなる。そして、材料はしっかり『約束』にて示されていた。かの楽曲を私は≪遠く離れた友達同士か或いは友達以上恋人未満の男女のお話≫をメルヒェンに置き、そのアレゴリーを過去と現在と未来への女子流を繋ぐ≪初心忘れるべからず≫とした。その結果がNEXT女子流≪東京女子流サウンドのど真ん中≫であり、オリジンへの回帰だったと言う訳だ。しかし、それもサウンド面だけのお話で、更にヴィジュアル面でも提示されていた。運命と呼称される言葉から連想するものは何か?そう、紅い糸だ。薄暗く落ち着いた色彩の『約束』MVで一際目を惹く小指に結ばれたあの紅い糸こそそれだろう。そして、それは何処へと繋がっていたのか?「運命の紅い糸」、即ちこの『運命』なのではないか。さて、仕上げにもう一丁。『運命』では東京女子流が再び強気な大人の女性をアンビバレンツながらに演じている。一方の『約束』の視点はどちらとも取れるが、『キラリ☆』との密接な繋がりと二人称から男性寄りと私は考える。従って、『約束』と『運命』は≪男性≫と≪女性≫の関係が出来上がり、そのどちらも結び付けるのは紅い糸だったんだね。やはり、楽曲面もコンセプト面も強度があって、東京女子流には毎度感心させられる。最後に特筆しておきたいのは、とりあえずMVの豪華絢爛妖艶な凄味。或いは色々な意味でニヤけてしまうだろう。撮りたてのMVを目の当たりにして変な声で叫んだのは初めてだったかもしれない。アレ観て「買おう!」ってなったもんなぁ。


~初代天使×現代天使=ハイパーイノセンス~

 白のイノセンスを示す「ワンダフル スマイル(新井ひとみと松島湾子)」は、「松島えがお大使」を務めるひーちゃんこと新井ひとみが松島のちからプロジェクト・キャラクターである松島湾子と唄うテーマソングだ。とりあえず、このイノセンス……ヤバイ。鬱屈とした世界に染まり過ぎた私には、眼が焼ける程に眩しいこの半端ないイノセンス。リリックは彼女らが綴っているが、

≪ナンデモナイ ナンデモナイ≫
≪なつやすみでもない日曜日≫
≪おじいちゃんに 会いに行こう≫


なんなのこの娘!?溢れ出るハピネスとイノセンス、なんて良い娘なのっ!!一度聴けばすぐに口遊んでしまうハピネスに満ちたサビを聴く前から、この楽曲から放たれるイノセンスの凄味にもはや何もかもどうでもよくなってしまう。ふと、これだけ凄まじいイノセンスを放つ楽曲を誰が書いたのか興味が沸いたのでクレジットに目をやった。川嶋あい、とあった。何もかも納得した。≪天使の歌声≫と呼称された彼女だ、なるほどなと思った。これは敵わないわ(何が
 かつて第一線で≪天使の歌声≫を披露していた川嶋あいと新井ひとみが巡り会うとは、誰が想像しただろうか。これはそう!10年越しのデスティニーな巡り会いだ!もう私にはこれしか頭に浮ばなかった。初代天使(川嶋あい)と現代天使(新井ひとみ)のデスティニーな巡り会いによるケミストリーの果て、これがハイパーイノセンスであると。複雑でまどろっこしい感情なんて要らない。必要なのはシンプルな想いだけで良いのさ。徐々に大人の階段を歩みつつも東京女子流がいつまでもイノセンスを失わないのは、新井ひとみの存在が大きいのだろうと感じた。


 #03は『約束』に収録されていた「ふたりきり」をデトロイト・テクノにリミックスされたクールでディープなダンス・チューン。7分強もあって聴き応えも充分、踊り甲斐もある。C-Typeのみに収録されている「運命 -Royal Mirrorball Mix-」もまた約8分のハウスで、オリジナル版とは違うヴォーカルラインの躍動感と高揚感を感じられる良リミックス。『約束』の「Outro」のミックスに近い印象もあり、ある意味NEXT女子流はオリジナルよりもリミックスの方かもしれないなど、捉え方も色々出来て面白味がある。東京女子流は本当に恵まれている。本作の充実した内容にまたそう思うのだ。最終的には、ハイパーイノセンスハンパねぇ!に集約されてしまうが、溢れんばかりのハピネスとイノセンスと天使の微笑みさえあれば、鬱屈とした世界に染まろうともユーフォリアへと導いてくれるだろう。

 紅い糸で結ばれた3rdフルレングス『約束』と12thシングルス『運命』、そしてそれ等を永久の記憶へと閉じ込めたフォトブック『永遠』という一連の流れ、東京女子流陣営の采配は実に素晴らしかった。いや、完璧だったと言っても過言ではない。だからこそ、更なるNEXT女子流への采配の不甲斐なさは残念としか言い様がなかったんだ。次回【音のアルカディアの崩壊】に続く。


 

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 音のアルカディアを蒐める再生の旅が終わった。
 去る5月18日、19日と東京女子流 3rd JAPAN TOUR 2013 『約束』ツアーファイナル2Daysにて燃え尽きてきたので、ツアーの総括的なお話をしましょう。




~『約束』が女子流に与えたモノは≪試練≫か?~

 今回のツアーは決して順調なモノではなかった。むしろ、数々の危機に見舞われた茨の道だった。ゆりちゃんの「声帯炎症」、べーやま隊長の体調不良、あぁちゃんの変声期の呪縛、そしてセミファイナルでまさかのめいてぃんの体調不良による離脱。メンバー5人全員が万全な状態で臨めたステージは一つも無かったと言ってもいいだろう。女子流に一体何が起こっていたのか。
 私は『約束』のレビューにて表題のコンセプトを≪初心忘れるべからず≫とした。しかし、その実は決意新たに~等と言っていたことが戯言に聞こえるほどに生温いものではなかった。あの頃とは積み上げてきたモノも背負っているモノも大きさが違う。彼女達を襲ったかつて無いほどの重圧は試練となって目の前に立ちはだかっていた。思えば、『約束』の楽曲達はNEXT女子流への成長を促す為に施されていたのかもしれない、等とツアーを見守ってきた今ならそう思えるのだ。例えば「月とサヨウナラ」の翳りのある艶を強調した表現は他のグループでは到底打ち出すことは出来ないし、熾烈なビート・ミュージック「幻」の様な休む暇を一切与えない複雑なフォーメーションに歌唱とダンスのソロバトルの駆け引きによる面白さも観る事は叶わないだろう。それらは言わば重圧を打ち破り、試練を乗り越える為の武器だ。紆余曲折あった今回のツアーだったが、ファイナルで魅せた「幻」は最高の仕上がりだった。つまり、彼女達はひとつ試練を乗り越えたと言っても良いだろう。完全復活のゆりちゃんの歌声は音源以上の出来栄えだったし、何だかんだで一番画になるべーやま隊長のキメも最高に輝いていた。
 しっかし、ツアーファイナルまで高水準のコンディションを保っていたエースのひーちゃんは何だかんだで凄い、しか感想がない。タフとかそういう次元の話ではないのだ。パフォーマンスで魅せれば、MCでは不思議ちゃんキャラが炸裂して場を一気に和ませるわ、やはり天才肌のアーティストだ。感心を通り越して尊敬ですよ。常に誰よりも元気な姿を見せてくれた彼女に拍手を贈りたい。ホント凄い娘だよ。

以下、各メンバーについての総括。

◆庄司芽生
 ツアー前半は良いコンディションでひーちゃんと2人で不調の3名を助けながら先導していた姿が頼もしかった。昨年末頃から良い具合に砕けて、表現も豊かになってきた。「Lair」以降のダンス面を強く打ち出した演出では持ち前のスキルで魅せてくれました。特に「Overnight Sensation -時代はあなたに委ねてる-」のソロダンスのトリは毎度見事だった。セミファイナルで途中離脱は悔しかっただろうけども、ファイナルでは意地と根性を見せてくれた。決して万全ではなかったと思うが、本当によく頑張った。


◆中江友梨
 ツアー前半では歌唱を披露出来ず、悔しい思いをしただろうし、色々なことを考えただろう。毎回謝る姿を見ては心が締め付けられた。ツアー後半では歌唱に復帰し、MCでは良くも悪くも美味しい役で輝いていた。食塩水面白かった(笑)。こう言ってはアレだけど、スベってるゆりちゃんが好きです。またしけたぁ、と言うゆりちゃんが好きです。お笑いの師匠のお蔭で、スベっても開き直る術を覚えて進化したのが少し寂しいです。しかし、ファイナルの「幻」の歌唱は最高の出来栄えだったし、「約束」の低音域と高音域がしっかりしていたのには成長を感じた。ひとつ壁を乗り越えたのではないだろうか。公演後の握手会で歌唱の事を伝えられたので私はもう満足です(私事


◆新井ひとみ
 歌唱の抜群の安定感以前に、常に高いコンディションをキープし続けている事実にもう頭が上がりません。不調のメンバーが多かったツアーにおいて、常に元気で不思議ちゃんのひーちゃんがどれだけ頼もしく見えたことか、安心感があった。シュールな芸、チンプンカンプンなMC、全てがみんなを和ませて救ったことでしょう。自然体で天才的、凄いよひーちゃん。可愛すぎひーちゃん。


◆山邊未夢
 体調不良だったべーやま隊長。ツアー中心配であったが、プライドと根性でやり切った。ツアーを通して宣伝が巧くなっていたし、落ち着きが身に付いてMCも華麗に纏められるように成長していた。リーダーとしての自覚がより強くなったのだろう。パフォーマンス面ではやはり隊長のステップが好きだ。ダンスのキメ、仕草も魅力的だ。特に「幻」のキメ顔は素晴らしかった。ツアー前半ではゆりちゃんの歌割りをフォローしていたが、高音域に難有りか?と思いきや、ツアー後半ではどうしたことか歌唱に化けの片鱗が視えた。特にファイナルでの歌唱は驚いたな。体調不良とは裏腹に、どうやら覚醒し始めている。すげーよ隊長!


◆小西彩乃
 ディーヴァあぁちゃん。どうしてもイマイチ歌声が安定しない。彼女自身ブログで心境を吐露する程であったし、苦しみもがき続けていたのだろう。しかし、セミファイナルでは復調の兆しが視えたし、ファイナルでは何だかんだでディーヴァの貫禄を取り戻しつつあった。低音域は大分安定していたし、歌声の艶と深みはずば抜けている。完全復活まであと少しか?今と昔の自分は違う。このまま焦らずに今の自分に合った歌唱スタイルを模索して欲しい。ファイナルの状態からすると、何か手掛かりを見つけ始めているような印象を受けた。MCでは何かと場を繋ぐ役回りが多く、やはり何かと頼りになる存在感があった。セミファイナルでのめいてぃん離脱による内容変更の謝罪で隊長をフォローしていたのも印象に残っている。視線だけで迅速に動けるあぁちゃんの頼もしさに感服致しました。


 今回のツアーはライヴの新たな魅せ方と実験的な試みで女子流の可能性は広がった。『約束』のその先のNEXT女子流は今まで以上にもっと色々な事が出来るだろう。その第一弾として『スレスレTV』連動ライヴでまた新しい事を始めようとしているのだから、チーム女子流のクリエイティヴさは依然活発だ。そういえばDreamのカバーは海外進出の足掛かりにするようだが、ゆくゆくはオリジナルの楽曲でクリエイティヴに魅せつけていって欲しい。多分魅せ方という点で壁にぶち当たると思うが。

 さて、確かな成長≪NEXT女子流≫を魅せつけてくれたファイナルも終わって、続くは来月発表の『運命』だ。思いっきりファンク路線に還ってきた女子流ならではの黒いサウンドで、あくまでも独自性を深めていくことを選択したようだ。そして、彼女達は再び大人の女性を演じる。その全容は6月5日に分かることでしょう。

 それではNEXT女子流『運命』でまたお会いしましょう。
 人が抱くイメージとは、本当の自分とはかけ離れたモノだ。
 あの日を以て竜美悠という人間は死に、Dream Cageが崩壊した今となってはもう無意味な話だが。
 ≪約束≫のその先を求めて、それは音のアルカディアを蒐めて自らを再生する為の旅。
 4月20日より始まった東京女子流 3rd JAPAN TOUR 2013 『約束』を東京⇒名古屋⇒大阪⇒仙台と巡って一区切り着いたので、その話をしよう。
 
 

4月20日@ZEPP TOKYO
―Set List―
01. Bad Flower
02. それでいいじゃん
03. Don't Be Cruel
04. We Will Win! -ココロのバトンでポ・ポンのポ~ン☆-

05. Love like candy floss
06. Get Over
07. My Will
08. 月とサヨウナラ
09. Regret.
10. Liar(RE-NDZ Remix)
11. きっと 忘れない、、、
12. 幻
13. ディスコード
14. Overnight Sensation -時代はあなたに委ねてる-
15. 運命
16. ふたりきり
17. ヒマワリと星屑
18. 大切な言葉
19. 約束
20. Attack Hyper Beat POP
21. おんなじキモチ
22. 頑張って いつだって 信じてる



~ゆりちゃんの歌が聴けない悲しみ~

 『日本縦断アイドル乱舞2013』以来となる女子流ちゃんのライヴ、ツアー初日の東京公演ではゆりちゃんこと中江友梨は喉を痛めている為、歌を控えるとのアナウンスがあった。FCイベントの時から喉に不調を訴えていたし、結構長引いている。彼女はこれからの女子流ちゃんのキーパーソンに成りうる可能性を秘めているだけに非常に心配だ。とは言え、彼女の歌が聴けない事が私のテンションにもかなり影響したのも事実で。。。歌が歌えない事を謝りながらもダンス・パフォーマンスで頑張る事を宣誓していたあの儚さにもう泣いちゃうわ。。。

~悪の華からの三連打が最高~

 アルバム『約束』の構成に沿ってあのイントロから悪の華に繋がり女子流ちゃんが登場。楽曲が持つ漆黒のイメージとは真逆の淡い水色の衣装のマント姿が爽やかで可愛かった。まさに妖精、まさに天使、やはりチーム女子流の衣装は素晴らしい!そして、今回のツアーで初披露となる#02「それでいいじゃん」がやはり良かった。この黒いグルーヴ、バウンスするグルーヴと歌のポップネスのバランスこそ女子流ちゃんの真髄よ!思わず顎でリズムを感じながら身体を揺すってしまうのが非常に心地良かった。振り付けもラフな感じが可愛く、キメのポーズも彼女達に似合っていた。ここ数ヶ月の間ライヴで観ていなかったツンデレ・ソング#03「Don't Be Cruel」に続いたのは本当にテンションが上がった。MCを挟んでの#04「 We Will Win! -ココロのバトンでポ・ポンのポ~ン☆-」も相当久しぶりで、歌とリリックが心温まるユーフォリアに満ちた良い曲だ。立て続けに大好きな楽曲が続くと、ゆりちゃんの歌不在でもテンションはアガる。日武公演以来となる#08「月とサヨウナラ」の艷やかな椅子パフォーマンスはやはり魅入ってしまった。なんつーか、色んな要素がスゲェ曲だよなぁ。

~NEXT女子流の片鱗、『約束』のその先の新世界~

 今回のライヴで最も驚いたこと、それは第二幕にある。今回のツアー・コンセプトを強く意識しているのがこの第二幕なのだと思う。#10「Liar(RE-NDZ Remix) 」のイントロと共に、ブラックライトによってネオンカラーのラインが光る衣装で登場。というか、え!?「Liar」をあのRE-NDZ Remixでやっちゃうんですか!?マジかっ!?一気にテンションがMAXに上昇したのを未だに覚えている。松井先生リミックス以外のリミックスをライヴでやっちゃうんだ!?ワクテカが止まらないとはこの事である。事実、RE-NDZ Remixをフロアで聴きたいと願ってはいたが、まさかの展開だった。EDMと化した「Lair」に色んなネジが吹っ飛んで狂ったように踊った!女子流ちゃんは踊る、私はミラーボールに向かって吠える。女子流ちゃんが踊る、私は吠える。ちょー気持ち良い、何も言えねぇ。北島康介とおんなじキモチになれた気がしたよ(なんだそれ)。これが『約束』のその先の新世界なのか。

~しかし、「幻」が本当に幻に・・・~

 3rdフルレンス『約束』屈指のキラーチューンである#12「幻」が遂に初お披露目となった。この日をどれだけ待ちわびたことだろうか。再び私はミラーボールに向かって吠える。ミラーボールが銀月に見えてきた頃合である(幻覚です)。エグいビートとベースラインが身体に突き刺さって滅茶苦茶気持ち良かった(病気です)。しかし、しかしだね、私はこの楽曲の鍵を握っているのはゆりちゃんだと思っているんだ。彼女の覚醒を予感させる堂々たる歌いっぷり、彼女のイカした節回しが楽曲と高いシンクロ率で同調しているのが、「幻」最大の魅力とさえ思っている。彼女の歌不在はあまりにもダメージが大きく、あの表現と節回しは他のメンバーではカバーしきれない事を実感してしまった。「幻」が文字通り幻になってしまうとは、こんなのシナリオにないよ。。。

~再び『約束』のその先へ~

 テンション上がり下がりの迷子になっても第二幕は本当に驚かせてくれた。#14「Overnight Sensation -時代はあなたに委ねてる-」もその一つで、まぁなんてことないカバー曲なのだが、手拍子で迎える間奏で一変。ダブによって強烈な重低音が腹に響くEDMのダンス・パートがカットイン。第二幕がアグレッシヴに攻め過ぎで思わず笑いが漏れてしまった。すげぇ・・・もうそれしか言えない。これが『約束』のその先、NEXT女子流なのか。6月にリリースされる新曲#15「運命」を女子流らしくいつも通りライヴで先行披露。曲調は地味な印象を受けたが、ファンキーなグルーヴはやはり良かった。それだけなのだけど、淡白な感想が後日吹き飛ぶことになるとは思ってもみなかった。

~実験的アンコール~

 なんだかんだでチーム女子流は現代のメジャーなSNSツールをうまいこと使いこなしていると思う。アンコール一曲目を選出された4曲よりTwitterのRTで投票し、ファンが選ぶという試みを今回のツアーで導入してみたようだ。その模様を衣装替えの時間を使ってUstreamでライヴ配信する。実績の女子流なんてどこかで謳われている様だが、結局こうやって点と点を繋げてクリエイティヴに新しい事を追究しているからなんだろうと思う。だから、面白いし、ワクワクする高揚感もある。で、本題の投票によって決まったのは王道も王道の誰もが納得の「AHBP」。ですよね~しか言えなかった(笑)。これ投票の意味あったのだろうか(それは言ってはいけない)。めいてぃんの告知タイム後は、伝家の宝刀#21「おんなじキモチ」からの#22「頑張って いつだって 信じてる」のリミット・ブレイク・コンボで〆。やっぱこれだよなぁと唸るね、うん。ただ、やはり完全燃焼とまではいかなかった。。。


4月27日@ZEPP NAGOYA
―Set List―
01. Bad Flower
02. それでいいじゃん
03. Don't Be Cruel

04. キラリ☆
05. 僕の手紙
06. Get Over
07. My Will
08. 月とサヨウナラ
09. Regret.
10. Liar(RE-NDZ Remix)
11. きっと 忘れない、、、
12. 幻
13. ディスコード
14. Overnight Sensation -時代はあなたに委ねてる-
15. 運命
16. ふたりきり
17. ヒマワリと星屑
18. 大切な言葉
19. 約束
20. Love like candy floss
21. おんなじキモチ
22. 頑張って いつだって 信じてる



~続・ゆりちゃんの歌が聴けない悲しみ~

 東京公演より一週間で復調するとは思っていなかったし、無理もして欲しくなかったが、一方で彼女の歌が聴きたい想いもあり、アンビバレンスに揺れる複雑な心境だった。最初のMCで謝る彼女に「ゆりちゃんがんばってー!」とエールを送ることくらいしか出来なかった。テンションは上がらない。私はどうしようもなく無力だ。。。

 今回のツアーでは4曲目と5曲目が公演各地で異ならしく、名古屋公演ではしっとりしんみり聴き入るセットリストだった。アンコール投票も「AHBP」を退けて#20「Love like candy floss」だったのは予想外だった。良い意味で期待が外れると、やはり面白い。ただ、やはり不完全燃焼。他に特筆することと言えば、ひーちゃんのシュールな手羽先ポーズか。いろんな意味で彼女がやはりエースなんだろうと思った(酷い感想


4月28日@ZEPP NAMBA
―Set List―
01. Bad Flower
02. それでいいじゃん
03. Don't Be Cruel
04. Limited addiction
05. ゆうやけハナビ

06. Get Over
07. My Will
08. 月とサヨウナラ
09. Regret.
10. Liar(RE-NDZ Remix)
11. きっと 忘れない、、、

12. 幻
13. ディスコード
14. Overnight Sensation -時代はあなたに委ねてる-
15. 運命
16. ふたりきり
17. ヒマワリと星屑
18. 大切な言葉
19. 約束
20. キラリ☆
21. おんなじキモチ
22. 頑張って いつだって 信じてる



~ゆりちゃんの歌が聴けない悲しみは更に深く…~

 あぁ、もういいって?\ゆりちゃーん!!/私が言いたいことはそれだけである。ホームの大阪で歌うことが出来ない現実に、彼女の潤んだ瞳が印象に残った。心が締め付けられる。私はどうしようもなく無力だ。。。

~それでも女子流ちゃんにハマっていく~

 大阪公演はなんかもうアーバン・ファンク#04「Limited addiction」が観られただけで価値があった。大阪忘年会以来で、本当に嬉しかった。ポイントアンケートにしつこく答えておいて良かった!ゆりちゃんの歌不在でも嬉しいとやはりテンションは上がるもので、悲しいかな「Liar」のRE-NDZ Remixで毎回踊り狂ってしまう。あの音を体感してしまったら踊る他ないのだ。静観不動の構えなど無理無理無理むーりーやーでー。

~隊長が心配です~

 ゆりちゃんゆりちゃん五月蝿いが、一番心配しているのがべーやま隊長だったりしてね。名古屋公演でも気掛かりではあったが、舞台裏から長いこと戻ってこない時間が必ずあった。その間を4人のマイペースなグダグダ寸前トークとひーちゃんのシュールなパフォーマンスでカバーして、暫くすると隊長が戻ってくる展開なのでうまいことやっていた。ただ、この日は#08「月とサヨウナラ」の椅子パフォーマンスでらしくないミスもあり、心配は増すばかり。ただ、彼女だけに限らず、ゆりちゃんの歌割部分が抜けたり、小さなミスも目立ち全体的に仕上がりは良くなかったかなぁ。安定感があるのが相変わらず、ひーちゃんとめいてぃんだけだからね。ひーちゃんはシュールさに拍車が掛かっていた。この娘は本当に凄いよ。。。


5月5日@RENSA
―Set List―
01. Bad Flower
02. それでいいじゃん
03. Don't Be Cruel
04. 鼓動の秘密
05. 追憶

06. Get Over
07. My Will
08. 月とサヨウナラ
09. Regret.
10. Liar(RE-NDZ Remix)
11. きっと 忘れない、、、
12. 幻
13. ディスコード
14. Overnight Sensation -時代はあなたに委ねてる-

15. 運命
16. ふたりきり
17. ヒマワリと星屑
18. 大切な言葉

19. 約束
20. キラリ☆
21. おんなじキモチ
22. 頑張って いつだって 信じてる



~ゆりちゃんの歌が聴ける喜び~

 2日前の福岡公演にてゆりちゃんが歌唱復活。悲しみに暮れ続けた私には朗報だった。友人に会いに行ったコミティアを後に仙台へ向かう私の足取りは実に軽かった。ゆりちゃんの歌が聴ける!ゆりちゃんの歌が聴ける!完全体の「幻」が聴ける!私の頭にはそれしかなかったね。新幹線で食べたお弁当もいつもより美味しく感じたくらいさ。

~無垢の蕾はゆりちゃん復活の福音~

 仙台公演では名曲#04「鼓動の秘密」が観られただけで価値があった。ポイントアンケートにしつこく答えておt(ry この楽曲は歌い出しがゆりちゃんでさ、無垢の蕾が彼女の復活を祝福していた様に聴こえたんだ。勿論、全力でゆりちゃんコールしたさ。東京女子流1stフェーズの記録では究極のイノセンスを放っていたが、成長した今ではそれとは違うミステリアスさを纏い始めていて、成長と共に新たな魅力を見せてくれるのが面白いなぁと感心してしまった。

~幸福との対面、「幻」完全体に涙~

 第二幕の幕開け、#10「Liar(RE-NDZ Remix)」のEDMと#11「きっと 忘れない、、、」でガッツリ踊り狂った後は、本当に本当に待ちわびた#12「幻」の完全体にテンションは最高潮に。ヴァースのゆりちゃんの高低凛々しく響く歌声にゾクゾクきたし、コーラスのあのイカした節回しがもう本当に最高だった。一番の聴き所であるツーコーラス目のヴァースとブリッジのあの高音域の声の抜け方もホント素晴らしかった!こ れ が 本当の「幻」だよ!!幸せ過ぎて泣いた。あの日視た銀月はいつもより大きかったなぁ(それはミラーボールです

~しかし、隊長が心配です~

 EDMから始まる第二幕ってダンスを尖らせている分やはり相当ハードなんだな。名古屋公演の頃から気になり始めていた、隊長舞台裏から帰ってこない、は仙台公演でもいつも通りやり過ごしていた。が、時折キツそうな表情が遂に見えてしまった。それでも#16「ふたりきり」のブリッジで魅せる良い表情は流石だったし、#19「約束」での歌唱は今まで聴いてきた中で最も表現力があったし、隊長のプライドと根性を感じた。スゲェよ隊長。。。でも、無理しないで。。。

~5月5日はキラリ☆記念日、隊長の涙は美しい~

 仙台公演のアンコール曲はまたもや#20「キラリ☆」に決定(またとか言うな)。他の候補にはあのスウィングするグルーヴが快感のジャズ歌謡「孤独の果て~月が泣いている~」があってだね、私はあの楽曲が超好きでさ、Twitterで聴きたい言っておいて良かった!と歓喜も束の間、「キラリ☆」には歯が立たなかった。しかし、この日アンコールに相応しかったのは「キラリ☆」しかなかった。3年前の5月5日、「キラリ☆」というイノセンスな楽曲は世に放たれた。5月5日はチーム女子流にとって大切な日、ツアーの表題「約束」に対しても大きな意味を持つのだから、なんだかんだで納得してしまった。楽曲披露後、台本にはないS竹氏の登場と戸惑う女子流ちゃんが面白かった。が、S竹氏のファンを代表して女子流ちゃんへの激励の言葉を代弁していたのにはうんうん頷くしかなかった。そうです、そうなんです、女子流ちゃんの頑張りが私の生きがいなんです。言葉にすると胡散臭くて普段は言葉にしないが、言葉にして言わなければ伝わらない想いもあるだろう。5月5日と言う記念日をみんなで祝福出来たこの多幸感たるや。代表して花束を受け取ったべーやま隊長が流した涙が美しかった。仙台公演、巡ってきた公演の中で一番良かったよ。


◆ツアー巡回総括
・ゆりちゃんの歌が聴けなくて凹む
・でも、無言でジェスチャーするゆりちゃんも可愛い(ダメだこいつ
・Dreamのカバー2曲を組んだ理由がよく分からない
・まさかの「Liar(RE-NDZ Remix)」に歓喜
・踊り狂ってミラーボールが銀月に見える様になる
・『約束』のBDにDJ REMIX収録は今回のツアーへの布石だったなんてこった
・NEXT女子流「運命」はヤバイしか言葉が見つからない
・ツアーならではの実験的な試みは中々面白かった
・トータルしての満足感は70~80%くらいか…
・握手会は高速くらいが丁度いい
・べーやま隊長のテクニカルな手羽先の食べ方は私には出来なかった…
・ライヴ後に食べた大阪の某お好み焼き屋がやはり旨かった
・ゆりちゃんが歌う「幻」がホント最高
・5人で唄う歌のハーモニーがやっぱり良い
・でも、べーやま隊長が心配です
・最高の仙台公演後は牛タンと温泉で幻想入り
・二夜連続で牛タン。だって旨いんだもん
・女子流ちゃんお薦めの喜久福さんが美味しかった
・「ワンダフル スマイル」の聖地巡礼として松島を堪能してきた
・ツアー巡りで辿り着いた悟りの境地

≪世界は女子流ちゃんを中心に廻っている≫


もう、恐れるものは何もない。

Title:約束
Artist:東京女子流
Release:2013/1/30


-Track List-
01. Intro
02. Bad Flower
03. 追憶 -Single Version-
04. ディスコード
05. それでいいじゃん
06. 大切な言葉
07. 月とサヨウナラ
08. 幻
09. Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~
10. ふたりきり
11. Lolita☆Strawberry in summer
12. 約束
13. Outro
14. ヒマワリと星屑 -English Version-
15. 月とサヨウナラ -Royal Mirrorball Mix

-Total 1:16:58-



~あの日交わした『約束』をもう一度…~

 “アイドル戦国時代”…正直な話、私はこの歳にもなって今更アイドルを追いかける行為に羞恥心やある種の後ろめたさが無い訳ではない。しかし、これがなかなかどうして面白くて抜け出せないのだ。ここで言うアイドルの面白さは楽しさとは意味が違うことを先に述べておこう。現場で観るアイドルのパフォーマンスは楽しい。が、それだけなら多分私はここまでハマることはなかった。アイドルの主戦場は現場であろうと、音楽である以上私は作品を重要視する(時代錯誤もいいところだけどね)。その作品が、コンセプトが、実に面白いのだ。現場は楽しい、作品も面白い、だからハマる。実に明解で単純なことだ。私にとってそれに当て嵌ったアイドル(厳密にはアイドルではない)がたまたま俺の青春!女子流ちゃんこと東京女子流だった、ってだけのことです。まぁ、楽曲に惚れ込んでるというのが一番にあるけどね。

 と言う訳で、東京女子流の3rd『約束』のお話をしましょう。本作は当社の2012年年間ベスト【邦楽部門】を見事に制した2nd『Limited addiction』より約10ヶ月振りとなるアルバムで、同アルバムからシングルカットされた『追憶 -Single Version』と武道館単独公演へ向けた『ROAD TO BUDOKAN 2012 -Bad Flower-』にTRFの20周年に関連してカバーした『Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~』の他、新曲5曲+αの内容となっている。まず本作を聴いて強く確信した事がある。やはり東京女子流のアルバムはコンセプト作品だった、という事。しかも驚くほど強度が高い。元々新作への期待は日に日に増していたがこれは予想外だった。作品内容の表面だけを見れば、前2作と同様J-POPらしいベストアルバム的な作りではある。しかし、1st『鼓動の秘密』が未熟なありのままの少女たちのイノセンスであった様に、また2nd『Limited addiction』が思春期の狭間で揺れる歪なアンビバレンツであった様に、それらを受け継ぐコンセプトが込められている。決意、とはたった二文字だけで表現出来るほど浅くはない。本作の楽曲全てを以てそう物語っているのだ。

~そこに幻想は在るのかしら?~

 いつの時代も喪失は痛みを伴うもの。現実(リアル)に生きている以上それは乗り越えなければならない。今でこそ溺愛している作品『Limited addiction』を根本から好きになるまでにはイノセンスの喪失と向き合わなければならなかった。夢を見る為に現実を見る(受け入れる)、などと矛盾しているがそんな葛藤があった訳です。『鼓動の秘密』に視るイノセンスはやはり奇跡的でとても儚い輝きを放っていた。しかし、彼女たちだって人間である以上成長を止める事は不可能で、それが自然の摂理というもの。普遍的なポップ・ミュージックからアーバンな質感とブラックネスを纏ったグルーヴ・ミュージックへの極端な変貌『Limited addiction』は、そんな極当たり前の事を作品を通じて伝えてくれていた。それは、現代日本に蔓延するアダルトチルドレンたちへ「大人になれ、現実を直視せよ」と痛烈なメッセージと共に警鐘を鳴らしていたのかもしれない。イノセンスの喪失という痛みはあったにせよ、確かに東京女子流の幻想がそこにはあった(前置き

 痛みはやがて中毒となる。そうやって「ハマって」いった『Limited addiction』から新たなステージへと移る本作『約束』は結論から言って見事な傑作だ。いや、最高傑作と言っても過言ではない。奇跡的な誕生から成長、成長から挑戦、それらを経て見据えるNEXT女子流の姿とは…、といった具合にコンセプトが変化していくと共に音にも変化が表れている。日本武道館単独公演へ向けリリースされた『ROAD TO BUDOKAN 2012 -Bad Flower-』収録曲である#02、#04、#11辺りでポップネスを脱ぎ捨てアーバン/ブラックネスを纏った様に、それを脱ぎ捨てロックに路線変更か?と思いきやそう単純なモノでもなかった。そもそも思い違いだったようで、実はイノセントなポップネスやアーバン/ブラックネスを脱ぎ捨てた訳ではなく、根底にはしっかり残っていた。ポップネスもブラックネスもアーバンだって、そうあのイノセンスさえも一切失われていなかったんだ!つまり、本作『約束』は前2作の特色をしっかり踏襲してブラッシュアップ&アップグレードと、更に地に足が着いた力強さを身に付けた初期三部作集大成的な、まさに“今”の東京女子流が描かれている(勿論、未来のNEXT女子流を予感させる楽曲もある)作品ってことなんだ!そこには夢だって希望だって、そう幻想だって在るんだよ!東京女子流の幻想が!かつて受け入れた痛みさえも癒す心の救済、東京女子流の少女幻想が!俺の青春!女子流ちゃんから俺の天使!女子流ちゃんへと溺愛が!今!加速する!!(何言ってんだコイツ…

~『約束』に潜む一筋のボーダーライン~

 東京女子流の作品は#01「Intro」で始まり#13「Outro」で終わり、プラスアルファでボーナストラックが付属する構成で一貫していて、本作もまた東京女子流の様式美で構築されている。この「Intro」と「Outro」はただのインストトラックではない事は前2作を聴いていたら分かるだろう。1st『鼓動の秘密』の「Outro」と2nd『Limited addiction』の「Intro」は同じ楽曲で、一部に新たにアレンジが施されている程度、作品と作品を繋ぐ架け橋としての仕掛けがある。この様式美に従えば、前作の「Outro」と本作の「Intro」も同様の仕掛けがあるのだろう、とリリース前から容易に予想はついた。しかし、驚きはある。前作「Outro」のジャジーなムードから突如ロックに変調し、ギターが荒々しく唸り吼えるあの不可解な展開は、本作の#02「Bad Flower」に繋げる伏線だってこと。ロックを取り込んだのは単なる路線変更でもなければ迷走でもない、これは予定調和だったんだ。これこそが東京女子流のアルバムがコンセプト作品たらしめる決定的な説得力を持っていると言っても良い。やはり、東京女子流に幻想は在るんだよ。

 その幻想は音にも宿っていた。#01「Intro」も新たにアレンジが施されていて、エレクトロニカ/ドローン/サイケデリックな映画音楽の導入部を想起させる、神秘的なサウンドスケープで始まる。今までとは明らかに違う、新たな始まりを予感させてくれる。あのムーディなジャズサウンドはアナログ的なセピア色のミックスから次第にクリアな音質へと変化していく演出が洒落ている。そして、ロックへと突然の変調から#02「Bad Flower」への繋ぎ方は予想通り、あぁやっぱりそうくるよね。で、漸く本題で悪の華ことこの#02「Bad Flower」が本作のボーダーラインだ。東京女子流の全てのアルバムが地続きに繋がっていると捉えると、前作最後の楽曲「追憶」と本作#03「追憶 -Single Version-」に丁度挟まれる構図になる。この二つの「追憶」のイメージカラーは白、対して悪の華のイメージカラーは黒。『約束』には「追憶」を分かつ明確な黒い境界線が存在する。境界線以降には温もりと希望、前向きさに満ちている。

~無垢の蕾はやがて悪の華を咲かせることだろう~

 悪の華こと#02「Bad Flower」は作品構成に視るボーダーラインだけに留まらない。東京女子流のアルバムは地続きに繋がるだけでなく、レイヤーの様に重なり繋がっている(この考えに至ったのは表題曲「約束」の考察と妄想がきっかけなので、その辺りは後述する)。無垢と神秘に満ちた東京女子流少女幻想の代名詞というかもう名曲中の名曲!(100%中の100%的なニュアンスで)と声高に言いたい「鼓動の秘密」は悪の華と同様に「Intro」から数えて2曲目に当たり、レイヤーを俯瞰すれば丁度重なって視える。未熟な少女を植物、花で例えるとしたらそれは蕾だ。「鼓動の秘密」とは胸の奥に秘めた小さな想い、壊れやすく儚い蕾さながらだ。

≪胸の奥で叫んでも≫
≪聞こえない 届かない≫


「鼓動の秘密」のコーラスパート頭のリリックにはこうある。一方、#02「Bad Flower」のコーラスパート後半のリリックには

≪閉じ込めてた秘密の感情が≫
≪胸の奥で狂い咲いてる≫


とある。まさかね…。意外やなかなかゴシックな展開になって参りましたよ。「鼓動の秘密」の秘密の感情とは淡い片想い。胸の奥で願い叫んでいたことはただ一つ

≪ホントの ワタシ見つけて≫

ここに少女の弱さが在る。強さの裏に在るのは弱さだ。それを悪の華ではこう振り返る。

≪とっくに全部諦めてる≫
≪そうやっていつも強がりを言って≫
≪本当の自分を押し殺してた≫


こうして無垢の蕾は悪の華を咲かせることになった。無垢の天使で在り続ける道もあったはずだが、本当の自分を解放する道を選択した。あの時指に身に付けていた紫色の薔薇はこの事を示唆していたとでも言うのだろうか?
 以上妄想終わり。しかし、この楽曲は元々シングル曲な訳だけど、あのシングルで聴いた時はここまでの妄想に至ることはなかった。それがアルバムに組み込まれる事によって、本来のリリックの意味とは別の意味を持つ事に気付かされてしまうとは…。ここまでの強度を誇るシングル曲が果たしてあっただろうか、いやない。改めてその凄まじい楽曲の強度に感嘆してしまう。いやいや、こりゃ凄いよ。改めてアルバムという作品形態の面白さと重要性を教えられた。また、滅茶苦茶好きな「鼓動の秘密」との強い結び付きを感じさせてくれた事によって#02「Bad Flower」が更に好きになった。グッジョブ!女子流ちゃん!

~成長と挑戦を経た“今”の女子流~

 悪の華に続く#03「追憶 -Single Version-」は前作からのシングルカットで、頭からシングル曲が立て続けに並ぶのも珍しいが、ボーダーラインの作用もあって流れが非常に良い。静寂と荘厳に包まれたノスタルジーなオリジナル版とは違い、ストリングスをフィーチュアした気品の良さはそのままにアコースティカルな温もりがあり、内には確かな力強さと前向きさに満ちている。
 再びロック路線へと移る#04「ディスコード」は歪み捲くったギターがノイジーに暴れるサイバーなロックサウンドでありながらファンキーなリフワークやグルーヴをも感じさせる、確かなブラックネスも共存する強度のある楽曲だ。ギターのキメが一々格好良いし、特にアウトロのギターソロは土方先生マジ良い仕事してる!これぞ職人魂のギターソロよ!
 最初の新曲#05「それでいいじゃん」は予想通り、お気楽で能天気なブラックネスのグルーヴが非常に気持ち良い楽曲。やっぱりグルーヴが優秀です。でも、前作のそれと決定的に違うのは「それでいいじゃん」と柔軟に割り切ることを歌っていることか。同じブラックネスでも地に足が着いた感があってとても心地が良い。
 女子流ちゃんのアンセム的な「おんなじキモチ」と同じくアニメ「はなかっぱ」のエンディングテーマである#06「大切な言葉」は失われていたと勘違いしていたイノセンスがある。それだけで心が満たされるのに、イントロのアコースティック・ギターによるハピネスに満ちた調べを耳にしたらもう涙腺が崩壊するじゃないか!この楽曲の美味しい所はブリッジ後半でフックを効かせた跳ねのリズムと歌メロで、さり気ないテクニックが施されてる。それがあるからこそコーラスパートの眩いまでのハピネスが輝く。強度のあるガチの楽曲が並ぶ中で一際存在感のあるポップ・ミュージックの安心感と多幸感が半端無い!そのポップネスさえもかつてのそれに比べ洗練されて、“今”の女子流にマッチしている。隙は無い。

~“過去”と“今”と“未来”を繋ぐNEXT女子流~

 本作が本領を発揮するのはここから、って事でアルバム後半の流れは特に神掛かっている。
 まず去る日武公演で先行披露した新曲#07「月とサヨウナラ」は今までに無い、椅子を使用した艶やかなパフォーマンスが印象的だった。楽曲はジャジーでムーディ、そしてアーバンな質感で前作のそれとはまた違った新機軸だ。東京女子流は失恋の歌が多いが、それらとも違う大人の女性を演じることに挑戦している。歌メロも複雑で、よくモノにしているもんだと感心する。
 で、本作のベスト・オブ・キラーチューンに挙げたいのがこの#08「幻」だ。端的に言って滅茶苦茶カッコイイ!ここまで尖ったグルーヴはヤバイ!ブレイクビーツなドラムにベースがとにかくブリブリベロベロバキバキ暴れ捲くるのがもう最高!なリズムセクション大好きなベース・ミュージック好きーは心も身体もガッツリ持っていかれる訳ですよ。ベースが強靭過ぎて他が霞むが、クリーン・トーンでファンキーに刻むバッキングも良いし、コーラスパートへ16分リフで雪崩れ込むキメもカッコイイし、間奏やアウトロでメロディアスに弾き倒す職人気質のソロワークも素晴らしい!土方先生マジグッジョブ!(本日二回目)勿論歌も良く、アグレッシヴな力強さはずば抜けている。これまで歌唱メインだったのは新井ひとみと小西彩乃の2人だったが、この楽曲は珍しくサビですらユニゾンパートが殆ど無い、全員均等に歌割りがあるのも特徴と言えよう。歌においても成長を感じさせる本作で、この楽曲で特に成長が著しく映るのが中江友梨。もはや歌において頭角を現してきたと言える程の存在感がある。元々カッコイイ系の楽曲が似合う彼女の独特の節回しと安定感を得始めたパンチ力がある高音域によって、グルーヴィーなベースラインとコントラストとなり突き抜ける、楽曲の格好良さを更に助長している様に映る。ちと褒め過ぎかもしれないが、そう言わせるだけの存在感があるし、ゆりちゃんが化け始めてるだとっ!?とかテンションも上がる。「幻」なんてアレンジの予想が全くつかなかったが、蓋を開けてみれば予想の遙か上を行く何もかも凄みに満ちたベスト・オブ・キラーチューンだった。このクオリティは変態過ぎるェ。。。
 褒め捲くりの#08「幻」のアウトロに対し続くのが#09「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」で、カバー曲でありながら流れが非常に良い。ライヴで幾度も観てきたせいか、サビを聴くとあの「くるくるうんぱっぱ♪」の振り付けがすっかり身に染みてることを実感する(ライヴ行き過ぎです)。ツーコーラス目のヴァースで跳ぶ、めいてぃんこと庄司芽生の「いっかーい!」でニヤる(ライヴ行き過ぎです)。時代はあなたに委ねてる、そう時代は女子流ちゃんに委ねてる!と言うのがコンセプトなのだろう(これについては後述する)。
 4曲目の新曲となる#10「ふたりきり」はひーちゃんこと新井ひとみが本作で「一番好きな曲」と公言するだけあって、その思い入れの強さは歌の表現に明らかに表れている。ヴァース頭の歌は声が弾んでいて、この曲が好きで好きで堪らない好き好きオーラが半端ない。ちゃんと自分のモノにしてることに感心する。リリックも“今”の彼女たちにとって地に足が着いた感じでシンクロ率も限りなく高い。イントロはギターがツインリードとソロの掛け合い、グルーヴの効いた裏のハイハットとタンバリン、ベースとシンセの16分ユニゾンでヴァースへ雪崩込み、と聴き所いっぱい。ヴァースはミディアムだが弾む歌メロにさり気なくグルーヴィーなドラムが良い。クリーン・トーンのアルペジオでスロウに落ち着くブリッジはウェットな演出が気に入ってる。5発のキメでコーラスへ入るのも女子流の様式美ならではでフックが効いて凄く良い。イントロと同じく裏拍で跳ねるコーラス・パートは歌が特に印象に残る。本気なんだ~\イェーイ♪/ぶつけるんだ~\イェーイ♪/の掛け合いがポップネス、ハピネス、イノセンスに満ちていて非常に気に入ってる。特にツーコーラスの

≪くいしばって 頑張るんだ≫

には聴いてるこっちが励まされ、涙腺が壊れる。普通に恋愛の歌ではあるが強さの変化が感じられる良い曲だ。「鼓動の秘密」にあった儚さ弱さは#02「Bad Flower」で極端に振り切った空虚な強さに変化した。この#10「ふたりきり」では弱さも認めた芯の通った強さがある、前向きさがある。だから楽曲にパワーも魅力も宿っているのだろうし、そこにはやはり夢も希望も幻想もあるよ。こりゃ新たな名曲だね!
 女子流ちゃんの先輩に当たる(一部で)伝説の女性ダンス・ヴォーカル・ユニットSweetSのデビュー曲を女子流オリジナル版#11「Lolita☆Strawberry in summer」として10年代に再生。ミステリアスなR&Bの原曲も良いが、女子流オリジナルがとにかく好き。語弊は大いにあると思うが、これが女子流プログレッシヴ・メタルだー!とあのシングルで聴いた時に一人で騒いでました(笑)原曲が約4分半なのに対し、こちらはプログ・メタルらしく6分強もある。良いね良いね!イントロはアコースティック・ギターのソロで始まる。これだけでもう私は幸せ。テンポを徐々に上げたらドラムのフィルインで突入、「ロリータ!」の力強いユニゾンが超印象的なコーラスで幕開け。うぉーカッコイイよー!そして、ギターが邪悪に吼えて変調→え!?こ・れ・は(笑)!?どこの夢劇場さんですかー!?からのスーパーめいてぃんタイム!うぉぉおおおおおおおお!めいてぃーん!!と1分も経たずに色々壊れるテンションの上がりっぷりですよ。いやホント最高。3:55~のギターソロはメロディアスで抑揚の効いた展開でとにかく聴かせる。いやーホント土方先生マジグッジョブ!(本日三回目)その後のCメロでベロベロとウネリ捲くるベースラインがこれまた素敵で堪らん!最後の最後もスーパーめいてぃんタイムで堪らん!背後で妖しく煽る夢劇場ばりのシンセも滅茶苦茶良い!かくして完全燃焼で私はフィナーレ「約束」を迎えることになったんだ(ぇ

~あの日交わした『約束』~

 本作のフィナーレを飾るタイトルトラック#12「約束」は本当に感動的な出来栄えだ。儚い輝きを纏った叙情的なミディアム・バラードで、ライヴで観る度に早く音盤で聴きたいと強く想わせてくれた。いざ音盤で聴いてみると、ライヴではあまり聴こえなかったアコースティック・ギターが全編に渡って良いアクセントになっていることに気付く。それは女子流ちゃんが未来へ向かって旅立つかの様で。本作はロックの他に特にこのアコースティックな質感を取り込んでいる。本作が非常にバランス良く纏っている要因なのかもしれない。ウィンドチャイムとアトモス系の淡い導入部からアコースティック・ギターの刻みとヴォーカルのサンプリングが鳴るイントロがもう好き過ぎて涙腺の崩壊が始まる。歌に関してはやはり本作の特徴に当て嵌まって、あまりユニゾンパートがない。しかし、それが大正解と思わせられる。コーラス・パートは5人のユニゾンで始まり、最年長のべーやま隊長からあぁちゃん→めいてぃん→ゆりちゃん→ひーちゃんへと一人ひとりが伝え繋ぎ、最後にユニゾンでキメ!この歌割り考えた人マジグッジョブ!ライヴだと更にトライアングルを形成していくから視覚的にも感動する。ツーコーラス後3:12~のインストパートは幻想的で切ない調べで始まり、叙情的なギターソロからツインリードのハモリへと展開し涙腺が壊れる。マジでグッジョブ土方先生!(本日四回目)しかし、一番の聴き所はなんとも切ない余韻を与えるアウトロの叙情的なギターソロで、ライヴで聴く度このアレンジを考えた松井先生グッジョブだなぁと何度も唸る。そして、味わい深い良いソロを弾く土方先生もマジグッジョブだなぁ(本日五回目)。いや、リリックもメロも考えた人もグッジョブだし、みんなグッジョブだな!こりゃチーム女子流の奇跡の結晶だよ。

 と言う訳で本作の表題曲#12「約束」は端的に言って傑作であり名曲である!と言い切りたい所だが、それだけで片付けることは出来ない凄まじい強度を誇るんだ。数あった候補の中で、何故本作のタイトルが『約束』なのか?そして何故「約束」がこの位置にあるのか?そうやって掘り進めて行く事で、#02「Bad Flower」の項で先述した作品構成に視る仕掛け辿り着く。

 まずは「約束」の意味を探るのではなく、「約束」という行為にフォーカスを当ててみる。約束とは一人ではなく、他の誰かとするもの。つまり、二人以上の人間が居て初めて成り立つ行為、ということは考えるまでもなく極当たり前のことだ。これを前提としてリリックの内容を汲み取ると、遠く離れた友達同士か或いは友達以上恋人未満の男女のお話なのだろう。リリックの世界観に関してはとりあえず特に考察する様なものはない。これだけでは幻想は視えない。では、リリックの主人公を東京女子流に置き換えた場合はどうか?というのをやってみる。さぁ、幻想を始めましょう。

 約束は前述した様に普通は相手が存在して成立するものだが、一人でも成立する例外が存在する。その例外とは自分の中のもう一人の自分という存在との約束、といった妄想的な形式で成立する。もう一人の自分とは多種多様にあるが、東京女子流に関してはデビューした頃の自分、つまり過去の自分となる。何故過去の彼女たちに当て嵌められるかの根拠は作品構成に視る仕掛けによる。#02「Bad Flower」の項と同様に本作『約束』の#12「約束」の位置に重なる存在を探すと、偶然にしては出来過ぎている1st『鼓動の秘密』の「キラリ☆」という楽曲が重なる。ここで「キラリ☆」の補足をしておこう。イノセントな名曲「キラリ☆」は彼女たちのデビュー曲で、東京女子流の未来への道標が描かれた全てが始まった楽曲。そこにはまだまだ未熟ながら確かな「決意」が込められている(以上補足でした)。また、2nd『Limited addiction』の「追憶」も重なる存在だ。「キラリ☆」「追憶」「約束」これらの楽曲に共通することは、NEXT女子流への決意表明の意思が込められているということ。これによって、東京女子流の作品は「Intro」と「Outro」の二次元的な仕掛けだけでなく、三次元的な繋がりも強いという仕掛けが分かった訳です。さて、それでは~あの日交わした『約束』~とは何なのか、「追憶」のフィルター越しに見ていきましょう。まずは「キラリ☆」のワンコーラスのリリックから以下引用。

≪そうさ 僕達は どんな夢も 叶えられるさ≫
≪この空は 遙か彼方の 未来にいる 君の元へ繋がってるよ≫
≪なにも 迷わない 今信じてる 確かな希望≫
≪溢れ出す その想いキラリ いつまでも光を放つから≫
≪物語はここから始まる≫


過去の彼女たちが未来(“今”)の彼女たちへ向けた約束。そんな彼女たちは昨年12月に日本武道館単独公演という一つの夢を叶える事が出来た。しかし、活動を重ねれば駆け出した頃には無かった重圧を徐々に感じていくことになる。#12「約束」のブリッジにこうある。

≪自分でもなんだか 分からない何かに≫
≪いつか押し潰されそうで≫
≪今すぐ君に会いたい≫


あの頃とは違う“今”の彼女たち内面を汲み取ったいいリリックだと思う。また、ブリッジに続くワンコーラスでは駆け出した頃を「追憶」してみたりもしている。しかし、ちゃんと前を向いている。よく出来てるよ。そして、ツーコーラスでは過去の約束を受け取った上で

≪夢とか未来を目指して≫
≪走り出すよ迷わずに≫
≪もう一度ここから僕達の旅が始まる≫
≪ねぇ きっと忘れないで≫
≪そう ほら 大事なことさ≫
≪そっと君がくれたもの≫
≪まぶしい約束≫


と過去の彼女たちへちゃんと返している。マジで泣かせるよ。。。イノセンスを継承しているし、そこには夢も希望も、そう幻想だって在るんだよ。もはや偶然とは思えない強い結び付きは改めて「キラリ☆」の価値を高めたと共に、#12「約束」を名曲たらしめる強い説得力を持っている。

~初心忘れるべからず~

 さて、お話も大詰めです。本作のコンセプト「決意」そして「約束」のアレゴリーとは~初心忘れるべからず~という事なのだろう。これは“今”の東京女子流に対してであるし、また本作を聴いた私たちに対するメッセージだ。そこには前作の痛烈さは無く、とても愛情に溢れている。彼女たちは昨年、日本武道館単独公演というひとつの大きな山場を越えた。最年少記録も樹立した訳だが、それらは全てもう過去のこと。大切なのはこれからどうするのかということ。今もう一度あの頃のまぶしい約束「キラリ☆」を「追憶」しつつ、決意新たに前に踏み出していこう、と言うのが本作『約束』に込められたトータルコンセプトと見ている。TRFカバー#09「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」も単にアルバムに組み込まれたのではなく、「キラリ☆」の彼女たちから「未来はあなたたちに託したよ!」とエールを送っているのだろう、と思うとなんとも幻想的ではないか。余談ではあるが、#12「約束」はスタッフから女子流ちゃんへ贈った楽曲という物語がある。なるほど…。私の妄想は正解ではないが、大きくは外れていないだろう。やはり、女子流ちゃんには幻想があるよ。

~NEXT女子流の予感~

 感動的過ぎるフィナーレの後には様式美に従って#13「Outro」で本作の幕は下りる。で、これまでの仕掛け通りであれば「Outro」は次の作品への橋渡しであると同時に、NEXT女子流の作風を予感させるもの、と予想がつく。中身は4つ打ちのクラブ・ミュージックそのもので、今までの東京女子流には無い雰囲気だ。ここからどんな楽曲が生まれるのか楽しみは尽きない。

 #14と#15はボーナストラックで#15のリミックスは通常版のみ収録。8分もある松井先生の趣味全開でベースラインが際立って良い感じ。他BD付きやDVD付きもあって、当分の間は『約束』を楽しみ尽くせそうだ(全形態買った人)いやぁ、本当に最高傑作だ。一言で片付ければそれで済む話なんだけど、結局ここまで書いてしまったなぁ。それだけインスピレーションを刺激する傑作だったってこと。2013年が始まってまだ1ヶ月しか経っていないが、早くも音のアルカディアの誕生ですよ。これは2連覇も見えたな!いやぁ、めでたい!実にめでたいよ!

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竜美 悠(You Tatsumi)
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