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音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。

Title:アムヴェリテの鎖
Artist:Cleshe
Release:2012/10/28


-Track List-
01. 狂気。或いは―
02. 時として鏡は生贄を喰らう
03. 罪人はただ美しさを貪る
04. 幸福な愚者は結末を知らない
05. 醜い誇り故に、無垢は穢れ易く
06. Memoire ~レフィエリテの回想録より~

-Total 29:59-



◆2011年の覇者が一年の沈黙を破り帰ってきた!!

 去る2011年、2nd『祈る少女のヴェレクロワ』で覚醒劇を魅せ、続く3rd『偶像少女輪舞』では更なる覚醒劇と衝撃的な物語構想を提示し、見事2011年の王座に輝き(特に賞品はない)わたくし竜美悠が主宰する溺愛ファミリー又の名を“夢檻の会”(?)の仲間入りを果たした、音のアルカディアの一角Clesheによる一年振りとなる4作目で、まさかの2枚同時リリースとなっている。しかし、通産のナンバリングは2枚ともに4thを冠する。つまり、そういう作品だと言うことです。2nd『祈る少女のヴェレクロワ』の応用編が3rd『偶像少女輪舞』とすれば、その応用と発展が4th『アムヴェリテの鎖』と『レフィエリテの鏡』と位置付けることが出来るだろう。即ち、Clesheが編み出した対の魔術が更に深化しているという事なんです。

~ディープ且つアン美エンスに深化したクレシェ~

 4thの片割れ『アムヴェリテの鎖』は元来秀でていた静謐と神秘のサウンドスケープ、ポスト・クラシカル且つニュー・ウェイヴィーなエレクトロ・アンビエント・ゴシックが更にディープに凝縮された作風といった第一印象を受ける。元々Clesheの静の楽曲を評価していた私にとっては、正に求めていた理想の作品であり、個人的には大変嬉しく思う。と、同時に只管閉塞している内省的作風は聴きやすいか?と言えば、やはり作り方自体が病んでる為、聴きやすくはないだろうとは思う。では、どうして極端に静の作風に成っているのか、と言うとそれは相方の『レフィエリテの鏡』も聴いて読んでいくと朧げに見えてきます。まずは本作クラシカルなドレスを身に纏ったアムヴェリテちゃんの『アムヴェリテの鎖』から触れていきます。


01. 狂気。或いは―
 神経質に鳴り響く電子音のフェードインとブレイクで4作目の世界へ一気に引き込まれる。淡々とした単音を奏でる鍵盤と平坦なリズム、気味悪く揺らぎ蠢く電子音、淡白に紡がれるなゆな嬢の歌声、呪術の如くリフレインするコーラス・パートの歌メロ、それ等からどうしようもなく滲み出る陰鬱な閉塞感、ネガティヴでミステリアスな雰囲気はCleshe史上最高と言っても過言ではない。今回のClesheはまた一段と病んでしまった。その病み具合から来る間の配置と無音、エフェクトの使い方は以前にも増して更に磨き掛かっている。地を這いずる様に呪術的に紡がれる≪手に掛けた十字は重く~≫と≪蝶よ花よと謳われて~≫のフレーズは催眠の如く脳に刻み込まれる。この時点では何を言ってるのか全く分からないが、『レフィエリテの鏡』まで通過して戻ってくると分かる。この楽曲が4作目の入り口だったのだと。即ち、4th Albumのオーヴァー・チュアであると。ヴァースに散りばめられたアムヴェリテちゃんの心の内の吐露もしっかり拾って頭の隅に置いておきたい。


02. 時として鏡は生贄を喰らう
 ホラーテイストの雰囲気から一転して、オルゴール音が響く儚く可憐な雰囲気で始まる。ここからが本編ですよ、と非常に分かりやすいと思う。アトモスフェリックに包まれる厳かなアンビエントで紡ぐヴァース。鋭いバイオリンとチェロが加わり6拍子で優雅に紡ぐブリッジ。そこから更にチェンバロが加わり4拍子と6拍子を交互に緩急を効かせ、クラシカルな歌メロを奏でるコーラス。全体的にやはり淡いサウンドスケープながら緩急やリズムへの細かい配慮に私は惹かれた。この楽曲は2つの作品を行き来して聴き込む度に夢現(ムゲン)の連鎖に惑わされ、あまりにも考え過ぎると本作が孕む呪いに蝕まれてしまうので注意が必要です。マジで。ここで注目しておきたいのはブックレットに描かれた≪鏡≫と≪兎≫で、これが後々面白いことになる。後は下記リリックも頭に刻んでおきたいですね。

≪ねぇ いつからか ねぇ いつからか≫
≪逆さまの世界に染まっていたの/溺れていたの≫



03. 罪人はただ美しさを貪る
 只管陰鬱アンビエントで紡がれる「今回のClesheほんとーに病んじゃった・・・」的な楽曲で、特にヴァースはリズム感そのものまで排除したビートレスの音像が重苦しい。コーラスではポスト・クラシカルの端整なサウンドスケープに若干の安息も得られるが、アムヴェリテちゃんの狂気が剥き出しになる場面でアンビエントに切り替え、空間を隔離する辺り、やってくれるな、と思わされる。全てのリリックを読んでいくと、アムヴェリテちゃんのキャラクターも見えてくるし、後々現れる夢現(ムゲン)に包まれた一つの問いを考えるのにも必須となる。が、やはり考え過ぎは呪われるだけなので程々に。で、ここでもブックレットに描かれた≪鏡≫台と≪蜥蜴≫は押さえておきたくて、リリックとリンクするので非常に重要です。あと、アウトロのフェードアウトする最後の最後の意味深な溜息も注目しておきましょう。


04. 幸福な愚者は結末を知らない
 本作は徹底してどの曲も暗い。ヴィオラの悲愴な調べで始まるこれもそう。ヴァースはドローンとストリングスによる鬱蒼としたサウンドスケープに包まれる。なゆな嬢のか細い歌も絞り出すような表現で、今にも暗鬱の空間に蝕まれてしまいそうなムードが大好きだ。何故か和音階を挟み(このアクセント大好きですけどね)、ニュー・ウェイヴ・ゴシックの耽美な躍動感で跳ねるブリッジへ。そして、再び何故かの和音階を挿入してニュー・ウェイヴィーなコーラスへと移る。ヒステリックな悲鳴を上げるストリングスの音色がキツく耳に刺すのが印象的で、アムヴェリテちゃんの自傷が綴られたリリックもエグい。先に言ってしまえば、アムヴェリテちゃんに罰が下ったシーンだ。果たして誰が?何の為に?と頭の片隅に残しておきましょう。ニュー・ウェイヴ・ゴシックの舞踏で踊る間奏を経てのヴィオラ・ソロ部分の緩急とブレイクからのツー・コーラス目への導入が良いね。ツー・コーラス目ではなゆな嬢の病み(闇)への憑依がエスカレートして、消え入りそうな儚さがより陰鬱なムードを滲み出して胸にクる。特にヴァースの≪~藻搔いている≫の抑揚とブリッジの≪感じないはずなのに・・・ 感じないはずなのに・・・≫の2回目の方に絶望感、喪失感が滲み出ているのが堪らない!さて、この楽曲でもピックアップしておきたいリリックが幾つもあるが、前述した事とツー・コーラス目にある≪誠の愛≫を気に留めておけば充分かなぁと思います。


05. 醜い誇り故に、無垢は穢れ易く
 #01の様な神経質に嫌に触れる電子音の揺らめきと不気味な蠢きに加え、ポスト・クラシカル且つシネマティックな空間演出でゴシック様式美と現代音楽の実験的融合アプローチを魅せる。ミニマリズムな進行にエレクトロニカの水々しい揺らぎのヴァース、ゴシック側へと傾倒するコーラス、不気味に反響する打音が印象的なブリッジを挟み再びコーラスに。左右交互に鳴り響く神経質な電子音からチャーチオルガンによる上昇、そこからシネマティック・オーケストレーションで厳かに開きつつも閉じていく構成と演出に鳥肌。抑揚も素晴らしいな!間奏を経て再び現代音楽的なヴァースへと終息する。全体的にやはり以前にも増してブラッシュアップされているし、何より出来が良いし、新しいアプローチも面白くて好感触だ。で、面白いのはそれだけではなく、4th Albumに存在する境界線(ボーダーライン)を破壊して繋ぐ要素がココに仕掛けられていた、と後々気付く事になる。ホント今回のClesheは前作以上予想以上にヤリ手なんですよ。創作への気合を感じるね。最後に本作が面白くなるキーワード≪最初の裏切り≫、これを一つの問いに後でうだうだ妄想してみましょう。


06. Memoire ~レフィエリテの回想録より~
 Clesheの超大作と言えば前作の「黙想鎮魂花」で、10:56と言う数字を見て「は?」と一瞬言葉を失う不意打ちを喰らって、しかもかなりの説得力を誇った出来栄えだったりして黙って唸るしかなかった・・・非常に驚愕させられた記憶がある。正直Clesheというサークルを見縊り過ぎていたと一気に認識を改めさせられた。あのインパクトから一年、7:00ジャストとCleshe史上2番目の大作がこの楽曲。ここで初めてレフィエリテちゃんの名自体を目にするのだが、彼女の存在自体はこれ以前に幾度も目にしてきているのだ。#01~#05までがアムヴェリテちゃん本人の視点・内面を告白してきたとすれば、ここではレフィエリテちゃんから視たアムヴェリテちゃんの人物像という事で、即ち本作の楽曲全てを以てアムヴェリテという少女の人物像を補完する、といった作品設計なのだろう。大掛かりだな。。。楽曲はやはり暗鬱で、クラシックの厳かな空間とスピリチュアルな音響で抑揚に注意を払いながら丁寧に奏でていく。ハイライトとなるラストのコーラスでは最後に意味深なセリフが残される。これが特にしっかり拾っておきたい要素で、捉え方次第で全く変わるから妄想の面白みが増します。キーワードは大雑把に言って全て、としか言い様がない。あえて抜き出すとすれば以下2箇所かな。

≪希望を与えたくて アナタに全て与えた≫
≪心を亡くし 魂を穢し 理想を叶えたくて・・・≫



◆第一部総括
 クレシェ病んじゃった・・・じゃなくて、第一印象として私の大好きな作風である事は間違いないのだが、『アムヴェリテの鎖』単体を聴いた時点では正直言って名盤『偶像少女輪舞』を超えられないのはもう仕方ないにしても、化けの片鱗を魅せた『祈る少女のヴェレクロワ』を超えてはいないなと思った。でも、それは仕方ない。全部静かだし鬱いし、何か本格的に病んできてるしさ(作り方が)。そもそもコンセプトとベクトルが違うしね。リスニングタイプの現代音楽的作風にキラーチューン求める方が間違ってるってもんだ。しかし、それでも2週目以降に面白くなると言うか、作品が化けると言うか、そんな作り方をするのが最近のClesheだったりして、私の薄っぺらいファースト・インプレッションなんざ悉く破壊してくれる。そこに快楽を感じる!それが覇者たる所以なんだな!アムヴェリテという少女の補完と言う意味では本作は本作単体でおおよそ完結する。一つの作品として普通に楽しむ事も充分可能だ。が、足りない部分・・・残された謎や問の方が多いもの事実で、忘れてはならない≪鎖≫もある。それらを紐解いていく為にはピックアップしていったキーワードたちを引き連れ逆さまの世界へ行く必要がある。何を境界線(ボーダーライン)とするか、過去現在未来夢現を幾度も渡り歩いて何が視えてくるのか。第二部へ続く。

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竜美 悠(You Tatsumi)
サンキュー!
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