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音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。

Title:しぇいきんぐ!
Artist:SHAKING PINK
Release:2012/12/31


-Track List-
01. らららら☆ラブなミステリー
02. なんでやねん!
03. 早速ですがSHAKING PINKはインベーダーだったようです
04. 絶対的!夢はSUPERアイドル
05. 恋のレスキュー出動なう!!
06. 合法ロリ二名から告白されたのでどっちか嫁にする
07. 恋はももいろ
08. おひめさまだっこしてネ♪しぇいぴみっくす
09. うるさ~い!!
10. おとな記念日
11. ストロベリィ☆イグニッション
12. Honey Bunny My Love

-Total 42:09-



 アイドルには実在するものとしないものがある。実在しないアイドル、即ち架空のアイドル。その最高峰(音のアルカディア)が全次元非実在系完全幻想アイドルのTRIPLE Hであることは今も揺らぐことはない。恐らくこれから先の未来においても。架空のアイドルは何が出来るのか?その可能性を理解しないことには伝説の実証、奇跡の結晶『H H H』クラスの作品は生まれることはない。密かに戦国時代の風が吹き始めているここ(同人音楽界)に舞い降りたSHAKING PINKの『しぇいきんぐ!』を聴いて、もしかしたら傑作になっていたのではないか?そんな数々のイフを感じてしまった、というお話をしましょう。

 当たり前の事ではあるが、あえてここに記しておく。音楽におけるアイドルはジャンルを指す言葉ではない。故に音楽性のみで優劣判別することは不可能であり、他のジャンルの様に何かが局所的に尖っていれば優秀なアイドルの楽曲、と言う単純な図式にもならない。楽曲/リリック/パフォーマンス/コンセプト/キャラクターデザイン、これらを総合したひとつ形の強度でそれは決まる。従って、音楽性の高さやそのクオリティーの高さを無闇矢鱈闇雲にアピールする事は、逆に空虚である事を証明することにしかならない。ましてや、架空の設定となれば振り付けやダンス等のパフォーマンス面、視覚に訴える点で大きなハンデを負う訳で、それを架空のキャラクターデザインとコンセプトの強度を以て補う必要がある。結論から言ってSHAKING PINKはそこが弱い。別に彼女達だけに限った話ではないんだけどね。
 SHAKING PINK(以下、しぇいぴ)は「世界中の大きなお友達に愛と勇気をお届けする使命をもつ、謎のバーチャルアイドルユニットなのです☆」と言うコンセプトで始まった架空のアイドルだ。しかし、それが活きているのは2012年の夏コミで発表したシングル曲#03「早速ですがSHAKING PINKはインベーダーだったようです」くらいだ。ブロステップの抉いグルーヴに乗る3人の奇怪なラップで始まり、強靭な滑舌を要する詰め込まれたリリックにアイドルならではのお約束のブリッジ、BPMの速い4つ打ちでトップギアに入る疾走感があるサビ、快活な歌のテンションたちは総じて「あぁ、これがしぇいぴの代表曲だな」と確信と幸福感を与えてくれる。彼女達のポテンシャルを活かす作詞と作曲をしたかめりあ氏は本当に良い仕事をしたと思う。流石にシングルの「☆いんとろだくしょん☆」にてしぇいぴのデビュー曲と謳っていただけのことはある。しかし、他の曲がこのインパクトと水準に届いていない。あのコンセプトとはかけ離れた普通の女の子のポップ・ソングに留まってしまっている。いや、もしや、謎のバーチャルアイドルだって中身は普通の女の子なんだよ、とでも言いたいのだろうか。そんなクリシェは面白くも何ともない。耳タコが出来るほど聞いてきた。楽曲の良し悪しは別として、せっかくのコンセプトを殺すだけにしかならない。結局、3人ヴォーカル曲で印象に残ったのはシングルを聴いた時と変わらず、かめりあ氏の一曲のみ。

 死んだコンセプトを無視すれば、ツイン・ヴォーカル曲の#05「恋のレスキュー出動なう!!」の「LOVEレスキュー♪」のキメポーズを勝手に決めて楽しんでるくらい好きだ。奇才きくお氏による#06「合法ロリ二名から告白されたのでどっちか嫁にする」は彼らしいアレンジを僅かに残しながらも、ココ(CV:ココ)とナナ(CV:ななひら)の歌声が快活に響く良い仕事をしているし、仮想現場でノレそうな煽りも楽しく心が弾む。後半が弱い印象の本作で終盤で息を吹き返す役目を果たすアッパーチューンの#11「ストロベリィ☆イグニッション」も爽快なバッキングにギターの軽快なカッティング、リフワークが快感で悪くない。
 ツイン・ヴォーカル曲群が安定した水準を示す中、足を引っ張っているのはソロ曲群だ。ナナの#04「絶対的!夢はSUPERアイドル」は彼女のポテンシャルを考えれば最低限のラインを越えただけに過ぎず、刺激が足りない分どうにも退屈に感じてしまう。ココの#10「おとな記念日」は特に耳に焼き付く歌メロやフレーズがある訳でもなく、退屈通り越して賢者状態さながらで聴き流してしまう。しかし、ソロ曲にも救いはある。モモ(CV:桃箱)ソロの#07「恋はももいろ」は単純なアレンジかと思いきやBメロの擬態語の変拍子とポリリズムが耳に強烈に焼き付くし、Cメロでヴォーカルの裏で響く掛け合いも強く印象に残る。これは仮想現場でやれということか!?A・B・Cメロの展開は完璧な印象なのに、サビの不可解な展開に落胆もある。が、よくよく聴けばさり気なく良いメロディーが存在するから、案外この楽曲は予想以上に懐が広く深い。サビがサビとして機能していないが、トータルで緩急が効いてカラフルに展開していくのは楽しいし他に比べて圧倒的に魅力的に映る。
 最後に、もう一つ足を引っ張る失敗要素はやはりボイスドラマの#02と#09で、アルバムの勢い流れを完全に殺すマイナスの効果しか発揮しておらず、相変わらずの音楽との相性の悪さを再認識させてくれる。内容も寒いだけなので救いようがない。シングルで聴けた「☆いんとろだくしょん☆」の様なシンプル且つ簡潔で次の楽曲に良い流れを生む素晴らしい効果も発揮する事を知っていただけに実に残念だ。もうこの際はっきり言おう。ドラマパートは邪魔である。まぁ、アルバムよりも楽曲単体が主流の今やアルバムの流れが~等と統一性を求める事自体時代錯誤もいい所なのだが、かと言ってそれぞれ単体が光り輝く素晴らしい出来かと問われれば、残念ながらそのラインには到達していない。結果的に楽曲のクオリティー、コンセプトの軸がブレにブレて、説得力も強度も皆無の聴き終わってみればなんだかよく分からない中途半端な作品という印象だけが残った。やはりアルバムとして楽曲を集めるなら最後まで心を掌握して聴き通させるくらいのリズム感がないとダメだ。

 架空のアイドルは実在するソレ以上にやれることの可能性が限りなく無限大で広大だ。故にその可能性の大きさに振り回されてしまう事は往々にしてある。可能性の大きさをモノにしきれなかった失敗作、しぇいぴの『しぇいきんぐ!』はその例の一つと言えよう。あの作家陣を揃えてこの結果は正直勿体無い。それとも企画者の楽曲/リリック/パフォーマンス/コンセプト/キャラクターデザインをまとめ上げるプロデュース能力が欠如していた結果なのか。デビューシングル『早速ですがSHAKING PINKはインベーダーだったようです』で確かに感じた高揚感こそ幻想だったのか。2012年の冬コミで最も期待していた作品は改めてアイドル歌謡の難しさを痛感させてくれた、という意味では有意義であったし、今年も氾濫しては消えていくであろう戦国の時代への警鐘に聴こえないこともない。しかし、しぇいぴはこんなものでは無いはずだ。これが侵略の始まりならば、次こそもっと刺激的なモノを期待しているよ。

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