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音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。

Title:5TH DIMENSION
Artist:ももいろクローバーZ
Release:2013/4/10


-Track List-
01. Neo STARGATE
02. 仮想ディストピア
03. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
04. 5 The POWER
05. 労働讃歌
06. ゲッダーン!
07. Z女戦争
08. 月と銀紙飛行船
09. BIRTH Ø BIRTH
10. 上球物語 -Carpe diem-
11. 宙飛ぶ!お座敷列車
12. サラバ、愛しき悲しみたちよ
13. 灰とダイヤモンド

-Total 1:07:53-



 あらゆるモノが島宇宙化している現代において、ひとつのムーブメントが起きても外に飛び出すエネルギーが生まれなければ結局小さなパイを奪い合う事になり、疲弊した文化は最終的に衰退、或いは消滅の道を辿るというのが世の常というもの。“アイドル戦国時代”もまた然り。閉塞した病的箱庭の壁を破壊し、他の島宇宙と繋がるエネルギーが昨今のアイドル界隈全体に生まれている訳ではない。

 私はももいろクローバーZについて詳しくは知らない。しかし、彼女達の成功例を省みるならば、他の島宇宙の異文化とコミュニケーションを積極的且つ地道に継続してきた事が、昨今の結果に繋がっているのだろうと私は思う。アイドルとはこうである、と言うイメージの固定化を避けながら異文化への露出を続け、世代・性別・ジャンルの壁を越え領土を拡大していった。こうした一連の行いはある意味アヴァンギャルドでプログレッシヴ、しかし、今の時代を切り拓いたミュータントな正統派アイドルと言えるのかもしれない。本作『5TH DIMENSION』はそんなももクロ流儀のバロメーターが振り切れた、奇を衒い過ぎとも言えなくもない奇抜なヴィジュアル・イメージが先行するアヴァンギャルドな作品で、音楽的にも外の世界への目配せに余念がない。それは“ももクロらしさ”に応えつつも固定化をあえて回避しながら新しい世界≪第五次元≫を提示するかの様で。結果的にそれは見方によって良くも悪くもが表裏一体に表れてしまっている。

 例えば、8分越えダブステップ大作の#01「Neo STARGATE」やブレイクビーツ~ブロステップ~EDMへと展開していく#09「BIRTH Ø BIRTH」等の本格的なエレクトロ・サウンドはややポップネスに乏しく、彼女達のパフォーマンス(ダンスではなくヲタ芸的なナニか)を推進する様な強い結び付きは連想し難い(仮に彼女達がPerfume並のダンス能力を擁しているのならば話は別だが)。また、#04「5 The POWER」の様な裏拍を顎で感じながら体を揺すりたくなる図太いブラックネスはもはや違和感すら覚える。しかし、そう感じてしまうのは彼女達の“全力”という固定化されたパフォーマンス・イメージに縛られているからであろう。楽曲はどれも嫌いではない、むしろどれも大好きだ。ただ、これらの楽曲は彼女達が中心に据えられているかどうかという意味では失策に見えるというだけの話で、私には楽曲と彼女達の間にシナジーが生まれている様には感じられなかった。

 アルバム曲の全てがそう、という訳ではない。#02「仮想ディストピア」の痛快なオルタナティヴ・ロックは元気な彼女達と同じベクトルで楽曲が爽快に響いているし、ワルツ調プログレの#08「月と銀紙飛行船」はシアトリカルな演出が彼女達の物語を彩り、旅路の先に抱く期待と不安がウェットに心地良く響く傑作だ。前山田健一氏作曲の#13「灰とダイヤモンド」は彼女達との結び付きを強く感じさせる、美しいプログレ・バラードで切ない余韻がとても心地良い。

 アルバムのオリジナル曲たちが音楽的に外の世界とコミュニケートした事によってややコアに寄り、そして全体的に肝心なポップ・ミュージックとしてのポップネスを損なっているのに対し、シングル曲#03「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」#05「労働讃歌」#07「Z女戦争」#12「サラバ、愛しき悲しみたちよ」の4曲は流石に質が高く、何より楽しい。そして、コアなアルバムに組み込まれた事によって、ポップネスはより輝きを増し、面白可笑しくもキャッチーさが際立ち、非常に魅力的に映る。結局のところ、ももクロだからこそ栄える楽曲と言うのは究極的に言ってシングル曲のみの様な気がしてならない。

 以上の様に本作は楽曲自体の主張が強いモノと楽曲をももクロ色に染めているモノが共存していて、≪第五次元≫の姿は実に歪だ。特に前者に関しては、進化と言うより変態化したマスク姿が私にはシニカルに楽曲と重なって映る。しかし、音楽的には面白く聴き応えのある楽曲が揃っているし、プログレッシヴ・ロックの如く永く愛聴出来そうな音盤だと言う実感もある。それと引き換えに、やはりアイドル歌謡としての清涼感のあるキャッチーさは希薄で、ポップ・ミュージックとしてはイマイチ、という裏の面もある。こうした表裏一体の作品構造は音楽そのものが好きか、或いはアイドル歌謡が好きか、果てはアイドルが好きかの意識の違いによって評価は大きく分かれるだろう。ある意味リトマス紙的な作品で、それはそれで面白いかもしれないとも私は思う。

 ≪第五次元≫のコンセプチュアルな構造は全てが全て成功とは言えないし、明らかに攻め過ぎて失策に陥っている箇所もある。しかし、アイドル歌謡の一極化が進む中で、あえてその病的な箱庭化を避ける為に外の世界とのコミュニケーション意識を絶えず持ち続けている彼女達は、ある意味異端だが、その予測不能さは私達を楽しませてくれる(つい先日もOzzfest Japan 2013への出演が決定したりと相変わらず話題に事欠かない)。積極的な異文化コミュニケーションの結果は時として失敗でも良いではないか。失敗は彼女達をより強くするだろうし、何よりそこにドラマが生まれる筈だ。失敗を恐れていては何も出来ない。新たな世界≪第五次元≫へ至る為には、進化や成長の過程において失敗はどうしても避けられないものなのだから。そんな本作は人間味があって中々悪くないと思えるんだ。

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