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音楽を中心に雑多に書き散らしてるブログ。
先日の食事の席であったお話。
某音の迷宮の偉い人から「BABYMETALってどうなの?」との質問があった。
その場では大した話も出来なかったので、改めてここで書いてみる(迷宮の偉い人向け

BABYMETALとは何か?の詳細は自身でググってもらった方が早いだろう。
ここで簡単に紹介すると、メタルを演る3人組のアイドル・ユニット。
まぁ、これだけだとアレなので、もう少し踏み込んで紹介しよう。まず、グループの母体としてさくら学院ってのが存在する。そのさくら学院の重音部と言うのがBABYMETALだ。学校の部活動みたいなコンセプトだと思って構わないだろう。当然の事ながら、所属メンバーはさくら学院のメンバーなので、義務教育卒業と同時にグループを卒業するルールが適用される。
で、BABYMETALのセンターを務めるSU-METALこと2代目生徒会長の中元すず香はこの春義務教育を終える為、さくら学院を卒業→BABYMETALは解体か?と、今後の動向が注目されていた(一部で)そして、今月のお話。さくら学院が中元すず香の今後を正式に発表した。以下引用―


梅花の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、本日2013年2月1日 重音部BABYMETALのライブ公演におきまして、BABYMETALは、中等部3年 中元すず香(生徒会長)の卒業後も引き続き活動を
継続することを発表いたしました。

BABYMETALはさくら学院の重音部内のユニットとしてこれまで活動してきましたが、中元すず香の卒業を機に、さくら学院の重音部という枠組みから卒業し、
1アーティスト“BABYMETAL”として、次のステップへ新たなスタートを切ることになりました。
水野由結、菊地最愛におきましては、さくら学院在学中ですが、本人達の意思を尊重し、更なる成長を目標に、BABYMETALの活動を《課外活動》として引き続き継続していくことを決定致しました。

さくら学院としましては、成長期限定という限られた時間の活動の中から、
独り立ちしていくユニットが生まれていくことをとても嬉しく感じております。
御父兄の皆様には、引き続き、さくら学院メンバー及び、BABYMETALへの暖かい御声援をどうぞ宜しくお願い致します。

2013年2月吉日
さくら学院 教員一同



―以上引用。
という訳で、めでたくBABYMETALはさくら学院から正式に独立を果たしました。
国内外からの注目度の高さや活動の実績がさくら学院に革命をもたらしたのだろう。あぁ、ここにも幻想があったよ。こういうのってやはりワクワクするし面白いよね。
以上がBABYMETALの近況(前置き

さて、BABYMETALってどうなの?って本題に入りましょう。
結論から言うと、私にとっては音盤を買うか買わないかの微妙なラインのアイドル。
特別メタルが好きな訳でもないので、楽曲面では惹かれるモノがあまりない、と言うのが正直な所だ。が、これだけだとお話が終わってしまうので、今年頭にリリースされた新曲を元に少し書いてみる。



『イジメ、ダメ、ゼッタイ』と言うなんだかとってもタイムリーな表題の楽曲。
これでBABYMETALはメジャー・デビュー、さくら学院に革命、つまりBABYMETALは“今”とってもキてる!?って事なんだ。いつものタワレコで試聴した時も思ったが、楽曲はかなりしっかりしてる。いや、ガチのメタルだ。ピュアなメロディック・パワー/スピード・メタルって印象で、メロディーは中々良い。バッキングの出来も良い(メタルはこれが重要)と思う。緩急ヲタの私には特にツーコーラス目のヴァースが美味しく映る。アニソン・メタルぅなサビ→大サビへの高揚感も良い。中元すず香の清涼感がある歌声も聴き心地が良く、重厚なバッキングといい塩梅でバランスが取れているように思う。ストレートなリリックはまぁアレな感じだが、アイドルはこれくらいが良い感じなんだよ。特に欠点らしい欠点が見当たらない。多分普通に買ってしまうな(さっきと言ってること違う

音楽は分裂と融合を繰り返しながら細分化し変態していくのが常であるし、一見イロモノに映るBABYMETALもメタルが変態化した“今”のメタルと捉えることはできる。そうやって文化は継承され変化し拡大していくものだし、BABYMETALの存在は私は好意的に見てる(音盤買うかは別として)。ティーンエイジャーのアイドルにメタル歌わせちゃう日本って国はやっぱり病んでるし変態だネ!!個人的には中元すず香の歌声は好きだし、将来のメタルクイーンに成り得る可能性を感じる。ユニット自体もメジャー進出と革命でまだまだ面白いことがやれそうな可能性を感じる。国内外共に今後も注目を集めていくだろう。という訳で、

「BABYMETALってどうなの?」→「良いと思います!」

で〆たいと思います。
あ、母体のさくら学院もよろしくね!(ぇ

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Title:約束
Artist:東京女子流
Release:2013/1/30


-Track List-
01. Intro
02. Bad Flower
03. 追憶 -Single Version-
04. ディスコード
05. それでいいじゃん
06. 大切な言葉
07. 月とサヨウナラ
08. 幻
09. Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~
10. ふたりきり
11. Lolita☆Strawberry in summer
12. 約束
13. Outro
14. ヒマワリと星屑 -English Version-
15. 月とサヨウナラ -Royal Mirrorball Mix

-Total 1:16:58-



~あの日交わした『約束』をもう一度…~

 “アイドル戦国時代”…正直な話、私はこの歳にもなって今更アイドルを追いかける行為に羞恥心やある種の後ろめたさが無い訳ではない。しかし、これがなかなかどうして面白くて抜け出せないのだ。ここで言うアイドルの面白さは楽しさとは意味が違うことを先に述べておこう。現場で観るアイドルのパフォーマンスは楽しい。が、それだけなら多分私はここまでハマることはなかった。アイドルの主戦場は現場であろうと、音楽である以上私は作品を重要視する(時代錯誤もいいところだけどね)。その作品が、コンセプトが、実に面白いのだ。現場は楽しい、作品も面白い、だからハマる。実に明解で単純なことだ。私にとってそれに当て嵌ったアイドル(厳密にはアイドルではない)がたまたま俺の青春!女子流ちゃんこと東京女子流だった、ってだけのことです。まぁ、楽曲に惚れ込んでるというのが一番にあるけどね。

 と言う訳で、東京女子流の3rd『約束』のお話をしましょう。本作は当社の2012年年間ベスト【邦楽部門】を見事に制した2nd『Limited addiction』より約10ヶ月振りとなるアルバムで、同アルバムからシングルカットされた『追憶 -Single Version』と武道館単独公演へ向けた『ROAD TO BUDOKAN 2012 -Bad Flower-』にTRFの20周年に関連してカバーした『Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~』の他、新曲5曲+αの内容となっている。まず本作を聴いて強く確信した事がある。やはり東京女子流のアルバムはコンセプト作品だった、という事。しかも驚くほど強度が高い。元々新作への期待は日に日に増していたがこれは予想外だった。作品内容の表面だけを見れば、前2作と同様J-POPらしいベストアルバム的な作りではある。しかし、1st『鼓動の秘密』が未熟なありのままの少女たちのイノセンスであった様に、また2nd『Limited addiction』が思春期の狭間で揺れる歪なアンビバレンツであった様に、それらを受け継ぐコンセプトが込められている。決意、とはたった二文字だけで表現出来るほど浅くはない。本作の楽曲全てを以てそう物語っているのだ。

~そこに幻想は在るのかしら?~

 いつの時代も喪失は痛みを伴うもの。現実(リアル)に生きている以上それは乗り越えなければならない。今でこそ溺愛している作品『Limited addiction』を根本から好きになるまでにはイノセンスの喪失と向き合わなければならなかった。夢を見る為に現実を見る(受け入れる)、などと矛盾しているがそんな葛藤があった訳です。『鼓動の秘密』に視るイノセンスはやはり奇跡的でとても儚い輝きを放っていた。しかし、彼女たちだって人間である以上成長を止める事は不可能で、それが自然の摂理というもの。普遍的なポップ・ミュージックからアーバンな質感とブラックネスを纏ったグルーヴ・ミュージックへの極端な変貌『Limited addiction』は、そんな極当たり前の事を作品を通じて伝えてくれていた。それは、現代日本に蔓延するアダルトチルドレンたちへ「大人になれ、現実を直視せよ」と痛烈なメッセージと共に警鐘を鳴らしていたのかもしれない。イノセンスの喪失という痛みはあったにせよ、確かに東京女子流の幻想がそこにはあった(前置き

 痛みはやがて中毒となる。そうやって「ハマって」いった『Limited addiction』から新たなステージへと移る本作『約束』は結論から言って見事な傑作だ。いや、最高傑作と言っても過言ではない。奇跡的な誕生から成長、成長から挑戦、それらを経て見据えるNEXT女子流の姿とは…、といった具合にコンセプトが変化していくと共に音にも変化が表れている。日本武道館単独公演へ向けリリースされた『ROAD TO BUDOKAN 2012 -Bad Flower-』収録曲である#02、#04、#11辺りでポップネスを脱ぎ捨てアーバン/ブラックネスを纏った様に、それを脱ぎ捨てロックに路線変更か?と思いきやそう単純なモノでもなかった。そもそも思い違いだったようで、実はイノセントなポップネスやアーバン/ブラックネスを脱ぎ捨てた訳ではなく、根底にはしっかり残っていた。ポップネスもブラックネスもアーバンだって、そうあのイノセンスさえも一切失われていなかったんだ!つまり、本作『約束』は前2作の特色をしっかり踏襲してブラッシュアップ&アップグレードと、更に地に足が着いた力強さを身に付けた初期三部作集大成的な、まさに“今”の東京女子流が描かれている(勿論、未来のNEXT女子流を予感させる楽曲もある)作品ってことなんだ!そこには夢だって希望だって、そう幻想だって在るんだよ!東京女子流の幻想が!かつて受け入れた痛みさえも癒す心の救済、東京女子流の少女幻想が!俺の青春!女子流ちゃんから俺の天使!女子流ちゃんへと溺愛が!今!加速する!!(何言ってんだコイツ…

~『約束』に潜む一筋のボーダーライン~

 東京女子流の作品は#01「Intro」で始まり#13「Outro」で終わり、プラスアルファでボーナストラックが付属する構成で一貫していて、本作もまた東京女子流の様式美で構築されている。この「Intro」と「Outro」はただのインストトラックではない事は前2作を聴いていたら分かるだろう。1st『鼓動の秘密』の「Outro」と2nd『Limited addiction』の「Intro」は同じ楽曲で、一部に新たにアレンジが施されている程度、作品と作品を繋ぐ架け橋としての仕掛けがある。この様式美に従えば、前作の「Outro」と本作の「Intro」も同様の仕掛けがあるのだろう、とリリース前から容易に予想はついた。しかし、驚きはある。前作「Outro」のジャジーなムードから突如ロックに変調し、ギターが荒々しく唸り吼えるあの不可解な展開は、本作の#02「Bad Flower」に繋げる伏線だってこと。ロックを取り込んだのは単なる路線変更でもなければ迷走でもない、これは予定調和だったんだ。これこそが東京女子流のアルバムがコンセプト作品たらしめる決定的な説得力を持っていると言っても良い。やはり、東京女子流に幻想は在るんだよ。

 その幻想は音にも宿っていた。#01「Intro」も新たにアレンジが施されていて、エレクトロニカ/ドローン/サイケデリックな映画音楽の導入部を想起させる、神秘的なサウンドスケープで始まる。今までとは明らかに違う、新たな始まりを予感させてくれる。あのムーディなジャズサウンドはアナログ的なセピア色のミックスから次第にクリアな音質へと変化していく演出が洒落ている。そして、ロックへと突然の変調から#02「Bad Flower」への繋ぎ方は予想通り、あぁやっぱりそうくるよね。で、漸く本題で悪の華ことこの#02「Bad Flower」が本作のボーダーラインだ。東京女子流の全てのアルバムが地続きに繋がっていると捉えると、前作最後の楽曲「追憶」と本作#03「追憶 -Single Version-」に丁度挟まれる構図になる。この二つの「追憶」のイメージカラーは白、対して悪の華のイメージカラーは黒。『約束』には「追憶」を分かつ明確な黒い境界線が存在する。境界線以降には温もりと希望、前向きさに満ちている。

~無垢の蕾はやがて悪の華を咲かせることだろう~

 悪の華こと#02「Bad Flower」は作品構成に視るボーダーラインだけに留まらない。東京女子流のアルバムは地続きに繋がるだけでなく、レイヤーの様に重なり繋がっている(この考えに至ったのは表題曲「約束」の考察と妄想がきっかけなので、その辺りは後述する)。無垢と神秘に満ちた東京女子流少女幻想の代名詞というかもう名曲中の名曲!(100%中の100%的なニュアンスで)と声高に言いたい「鼓動の秘密」は悪の華と同様に「Intro」から数えて2曲目に当たり、レイヤーを俯瞰すれば丁度重なって視える。未熟な少女を植物、花で例えるとしたらそれは蕾だ。「鼓動の秘密」とは胸の奥に秘めた小さな想い、壊れやすく儚い蕾さながらだ。

≪胸の奥で叫んでも≫
≪聞こえない 届かない≫


「鼓動の秘密」のコーラスパート頭のリリックにはこうある。一方、#02「Bad Flower」のコーラスパート後半のリリックには

≪閉じ込めてた秘密の感情が≫
≪胸の奥で狂い咲いてる≫


とある。まさかね…。意外やなかなかゴシックな展開になって参りましたよ。「鼓動の秘密」の秘密の感情とは淡い片想い。胸の奥で願い叫んでいたことはただ一つ

≪ホントの ワタシ見つけて≫

ここに少女の弱さが在る。強さの裏に在るのは弱さだ。それを悪の華ではこう振り返る。

≪とっくに全部諦めてる≫
≪そうやっていつも強がりを言って≫
≪本当の自分を押し殺してた≫


こうして無垢の蕾は悪の華を咲かせることになった。無垢の天使で在り続ける道もあったはずだが、本当の自分を解放する道を選択した。あの時指に身に付けていた紫色の薔薇はこの事を示唆していたとでも言うのだろうか?
 以上妄想終わり。しかし、この楽曲は元々シングル曲な訳だけど、あのシングルで聴いた時はここまでの妄想に至ることはなかった。それがアルバムに組み込まれる事によって、本来のリリックの意味とは別の意味を持つ事に気付かされてしまうとは…。ここまでの強度を誇るシングル曲が果たしてあっただろうか、いやない。改めてその凄まじい楽曲の強度に感嘆してしまう。いやいや、こりゃ凄いよ。改めてアルバムという作品形態の面白さと重要性を教えられた。また、滅茶苦茶好きな「鼓動の秘密」との強い結び付きを感じさせてくれた事によって#02「Bad Flower」が更に好きになった。グッジョブ!女子流ちゃん!

~成長と挑戦を経た“今”の女子流~

 悪の華に続く#03「追憶 -Single Version-」は前作からのシングルカットで、頭からシングル曲が立て続けに並ぶのも珍しいが、ボーダーラインの作用もあって流れが非常に良い。静寂と荘厳に包まれたノスタルジーなオリジナル版とは違い、ストリングスをフィーチュアした気品の良さはそのままにアコースティカルな温もりがあり、内には確かな力強さと前向きさに満ちている。
 再びロック路線へと移る#04「ディスコード」は歪み捲くったギターがノイジーに暴れるサイバーなロックサウンドでありながらファンキーなリフワークやグルーヴをも感じさせる、確かなブラックネスも共存する強度のある楽曲だ。ギターのキメが一々格好良いし、特にアウトロのギターソロは土方先生マジ良い仕事してる!これぞ職人魂のギターソロよ!
 最初の新曲#05「それでいいじゃん」は予想通り、お気楽で能天気なブラックネスのグルーヴが非常に気持ち良い楽曲。やっぱりグルーヴが優秀です。でも、前作のそれと決定的に違うのは「それでいいじゃん」と柔軟に割り切ることを歌っていることか。同じブラックネスでも地に足が着いた感があってとても心地が良い。
 女子流ちゃんのアンセム的な「おんなじキモチ」と同じくアニメ「はなかっぱ」のエンディングテーマである#06「大切な言葉」は失われていたと勘違いしていたイノセンスがある。それだけで心が満たされるのに、イントロのアコースティック・ギターによるハピネスに満ちた調べを耳にしたらもう涙腺が崩壊するじゃないか!この楽曲の美味しい所はブリッジ後半でフックを効かせた跳ねのリズムと歌メロで、さり気ないテクニックが施されてる。それがあるからこそコーラスパートの眩いまでのハピネスが輝く。強度のあるガチの楽曲が並ぶ中で一際存在感のあるポップ・ミュージックの安心感と多幸感が半端無い!そのポップネスさえもかつてのそれに比べ洗練されて、“今”の女子流にマッチしている。隙は無い。

~“過去”と“今”と“未来”を繋ぐNEXT女子流~

 本作が本領を発揮するのはここから、って事でアルバム後半の流れは特に神掛かっている。
 まず去る日武公演で先行披露した新曲#07「月とサヨウナラ」は今までに無い、椅子を使用した艶やかなパフォーマンスが印象的だった。楽曲はジャジーでムーディ、そしてアーバンな質感で前作のそれとはまた違った新機軸だ。東京女子流は失恋の歌が多いが、それらとも違う大人の女性を演じることに挑戦している。歌メロも複雑で、よくモノにしているもんだと感心する。
 で、本作のベスト・オブ・キラーチューンに挙げたいのがこの#08「幻」だ。端的に言って滅茶苦茶カッコイイ!ここまで尖ったグルーヴはヤバイ!ブレイクビーツなドラムにベースがとにかくブリブリベロベロバキバキ暴れ捲くるのがもう最高!なリズムセクション大好きなベース・ミュージック好きーは心も身体もガッツリ持っていかれる訳ですよ。ベースが強靭過ぎて他が霞むが、クリーン・トーンでファンキーに刻むバッキングも良いし、コーラスパートへ16分リフで雪崩れ込むキメもカッコイイし、間奏やアウトロでメロディアスに弾き倒す職人気質のソロワークも素晴らしい!土方先生マジグッジョブ!(本日二回目)勿論歌も良く、アグレッシヴな力強さはずば抜けている。これまで歌唱メインだったのは新井ひとみと小西彩乃の2人だったが、この楽曲は珍しくサビですらユニゾンパートが殆ど無い、全員均等に歌割りがあるのも特徴と言えよう。歌においても成長を感じさせる本作で、この楽曲で特に成長が著しく映るのが中江友梨。もはや歌において頭角を現してきたと言える程の存在感がある。元々カッコイイ系の楽曲が似合う彼女の独特の節回しと安定感を得始めたパンチ力がある高音域によって、グルーヴィーなベースラインとコントラストとなり突き抜ける、楽曲の格好良さを更に助長している様に映る。ちと褒め過ぎかもしれないが、そう言わせるだけの存在感があるし、ゆりちゃんが化け始めてるだとっ!?とかテンションも上がる。「幻」なんてアレンジの予想が全くつかなかったが、蓋を開けてみれば予想の遙か上を行く何もかも凄みに満ちたベスト・オブ・キラーチューンだった。このクオリティは変態過ぎるェ。。。
 褒め捲くりの#08「幻」のアウトロに対し続くのが#09「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」で、カバー曲でありながら流れが非常に良い。ライヴで幾度も観てきたせいか、サビを聴くとあの「くるくるうんぱっぱ♪」の振り付けがすっかり身に染みてることを実感する(ライヴ行き過ぎです)。ツーコーラス目のヴァースで跳ぶ、めいてぃんこと庄司芽生の「いっかーい!」でニヤる(ライヴ行き過ぎです)。時代はあなたに委ねてる、そう時代は女子流ちゃんに委ねてる!と言うのがコンセプトなのだろう(これについては後述する)。
 4曲目の新曲となる#10「ふたりきり」はひーちゃんこと新井ひとみが本作で「一番好きな曲」と公言するだけあって、その思い入れの強さは歌の表現に明らかに表れている。ヴァース頭の歌は声が弾んでいて、この曲が好きで好きで堪らない好き好きオーラが半端ない。ちゃんと自分のモノにしてることに感心する。リリックも“今”の彼女たちにとって地に足が着いた感じでシンクロ率も限りなく高い。イントロはギターがツインリードとソロの掛け合い、グルーヴの効いた裏のハイハットとタンバリン、ベースとシンセの16分ユニゾンでヴァースへ雪崩込み、と聴き所いっぱい。ヴァースはミディアムだが弾む歌メロにさり気なくグルーヴィーなドラムが良い。クリーン・トーンのアルペジオでスロウに落ち着くブリッジはウェットな演出が気に入ってる。5発のキメでコーラスへ入るのも女子流の様式美ならではでフックが効いて凄く良い。イントロと同じく裏拍で跳ねるコーラス・パートは歌が特に印象に残る。本気なんだ~\イェーイ♪/ぶつけるんだ~\イェーイ♪/の掛け合いがポップネス、ハピネス、イノセンスに満ちていて非常に気に入ってる。特にツーコーラスの

≪くいしばって 頑張るんだ≫

には聴いてるこっちが励まされ、涙腺が壊れる。普通に恋愛の歌ではあるが強さの変化が感じられる良い曲だ。「鼓動の秘密」にあった儚さ弱さは#02「Bad Flower」で極端に振り切った空虚な強さに変化した。この#10「ふたりきり」では弱さも認めた芯の通った強さがある、前向きさがある。だから楽曲にパワーも魅力も宿っているのだろうし、そこにはやはり夢も希望も幻想もあるよ。こりゃ新たな名曲だね!
 女子流ちゃんの先輩に当たる(一部で)伝説の女性ダンス・ヴォーカル・ユニットSweetSのデビュー曲を女子流オリジナル版#11「Lolita☆Strawberry in summer」として10年代に再生。ミステリアスなR&Bの原曲も良いが、女子流オリジナルがとにかく好き。語弊は大いにあると思うが、これが女子流プログレッシヴ・メタルだー!とあのシングルで聴いた時に一人で騒いでました(笑)原曲が約4分半なのに対し、こちらはプログ・メタルらしく6分強もある。良いね良いね!イントロはアコースティック・ギターのソロで始まる。これだけでもう私は幸せ。テンポを徐々に上げたらドラムのフィルインで突入、「ロリータ!」の力強いユニゾンが超印象的なコーラスで幕開け。うぉーカッコイイよー!そして、ギターが邪悪に吼えて変調→え!?こ・れ・は(笑)!?どこの夢劇場さんですかー!?からのスーパーめいてぃんタイム!うぉぉおおおおおおおお!めいてぃーん!!と1分も経たずに色々壊れるテンションの上がりっぷりですよ。いやホント最高。3:55~のギターソロはメロディアスで抑揚の効いた展開でとにかく聴かせる。いやーホント土方先生マジグッジョブ!(本日三回目)その後のCメロでベロベロとウネリ捲くるベースラインがこれまた素敵で堪らん!最後の最後もスーパーめいてぃんタイムで堪らん!背後で妖しく煽る夢劇場ばりのシンセも滅茶苦茶良い!かくして完全燃焼で私はフィナーレ「約束」を迎えることになったんだ(ぇ

~あの日交わした『約束』~

 本作のフィナーレを飾るタイトルトラック#12「約束」は本当に感動的な出来栄えだ。儚い輝きを纏った叙情的なミディアム・バラードで、ライヴで観る度に早く音盤で聴きたいと強く想わせてくれた。いざ音盤で聴いてみると、ライヴではあまり聴こえなかったアコースティック・ギターが全編に渡って良いアクセントになっていることに気付く。それは女子流ちゃんが未来へ向かって旅立つかの様で。本作はロックの他に特にこのアコースティックな質感を取り込んでいる。本作が非常にバランス良く纏っている要因なのかもしれない。ウィンドチャイムとアトモス系の淡い導入部からアコースティック・ギターの刻みとヴォーカルのサンプリングが鳴るイントロがもう好き過ぎて涙腺の崩壊が始まる。歌に関してはやはり本作の特徴に当て嵌まって、あまりユニゾンパートがない。しかし、それが大正解と思わせられる。コーラス・パートは5人のユニゾンで始まり、最年長のべーやま隊長からあぁちゃん→めいてぃん→ゆりちゃん→ひーちゃんへと一人ひとりが伝え繋ぎ、最後にユニゾンでキメ!この歌割り考えた人マジグッジョブ!ライヴだと更にトライアングルを形成していくから視覚的にも感動する。ツーコーラス後3:12~のインストパートは幻想的で切ない調べで始まり、叙情的なギターソロからツインリードのハモリへと展開し涙腺が壊れる。マジでグッジョブ土方先生!(本日四回目)しかし、一番の聴き所はなんとも切ない余韻を与えるアウトロの叙情的なギターソロで、ライヴで聴く度このアレンジを考えた松井先生グッジョブだなぁと何度も唸る。そして、味わい深い良いソロを弾く土方先生もマジグッジョブだなぁ(本日五回目)。いや、リリックもメロも考えた人もグッジョブだし、みんなグッジョブだな!こりゃチーム女子流の奇跡の結晶だよ。

 と言う訳で本作の表題曲#12「約束」は端的に言って傑作であり名曲である!と言い切りたい所だが、それだけで片付けることは出来ない凄まじい強度を誇るんだ。数あった候補の中で、何故本作のタイトルが『約束』なのか?そして何故「約束」がこの位置にあるのか?そうやって掘り進めて行く事で、#02「Bad Flower」の項で先述した作品構成に視る仕掛け辿り着く。

 まずは「約束」の意味を探るのではなく、「約束」という行為にフォーカスを当ててみる。約束とは一人ではなく、他の誰かとするもの。つまり、二人以上の人間が居て初めて成り立つ行為、ということは考えるまでもなく極当たり前のことだ。これを前提としてリリックの内容を汲み取ると、遠く離れた友達同士か或いは友達以上恋人未満の男女のお話なのだろう。リリックの世界観に関してはとりあえず特に考察する様なものはない。これだけでは幻想は視えない。では、リリックの主人公を東京女子流に置き換えた場合はどうか?というのをやってみる。さぁ、幻想を始めましょう。

 約束は前述した様に普通は相手が存在して成立するものだが、一人でも成立する例外が存在する。その例外とは自分の中のもう一人の自分という存在との約束、といった妄想的な形式で成立する。もう一人の自分とは多種多様にあるが、東京女子流に関してはデビューした頃の自分、つまり過去の自分となる。何故過去の彼女たちに当て嵌められるかの根拠は作品構成に視る仕掛けによる。#02「Bad Flower」の項と同様に本作『約束』の#12「約束」の位置に重なる存在を探すと、偶然にしては出来過ぎている1st『鼓動の秘密』の「キラリ☆」という楽曲が重なる。ここで「キラリ☆」の補足をしておこう。イノセントな名曲「キラリ☆」は彼女たちのデビュー曲で、東京女子流の未来への道標が描かれた全てが始まった楽曲。そこにはまだまだ未熟ながら確かな「決意」が込められている(以上補足でした)。また、2nd『Limited addiction』の「追憶」も重なる存在だ。「キラリ☆」「追憶」「約束」これらの楽曲に共通することは、NEXT女子流への決意表明の意思が込められているということ。これによって、東京女子流の作品は「Intro」と「Outro」の二次元的な仕掛けだけでなく、三次元的な繋がりも強いという仕掛けが分かった訳です。さて、それでは~あの日交わした『約束』~とは何なのか、「追憶」のフィルター越しに見ていきましょう。まずは「キラリ☆」のワンコーラスのリリックから以下引用。

≪そうさ 僕達は どんな夢も 叶えられるさ≫
≪この空は 遙か彼方の 未来にいる 君の元へ繋がってるよ≫
≪なにも 迷わない 今信じてる 確かな希望≫
≪溢れ出す その想いキラリ いつまでも光を放つから≫
≪物語はここから始まる≫


過去の彼女たちが未来(“今”)の彼女たちへ向けた約束。そんな彼女たちは昨年12月に日本武道館単独公演という一つの夢を叶える事が出来た。しかし、活動を重ねれば駆け出した頃には無かった重圧を徐々に感じていくことになる。#12「約束」のブリッジにこうある。

≪自分でもなんだか 分からない何かに≫
≪いつか押し潰されそうで≫
≪今すぐ君に会いたい≫


あの頃とは違う“今”の彼女たち内面を汲み取ったいいリリックだと思う。また、ブリッジに続くワンコーラスでは駆け出した頃を「追憶」してみたりもしている。しかし、ちゃんと前を向いている。よく出来てるよ。そして、ツーコーラスでは過去の約束を受け取った上で

≪夢とか未来を目指して≫
≪走り出すよ迷わずに≫
≪もう一度ここから僕達の旅が始まる≫
≪ねぇ きっと忘れないで≫
≪そう ほら 大事なことさ≫
≪そっと君がくれたもの≫
≪まぶしい約束≫


と過去の彼女たちへちゃんと返している。マジで泣かせるよ。。。イノセンスを継承しているし、そこには夢も希望も、そう幻想だって在るんだよ。もはや偶然とは思えない強い結び付きは改めて「キラリ☆」の価値を高めたと共に、#12「約束」を名曲たらしめる強い説得力を持っている。

~初心忘れるべからず~

 さて、お話も大詰めです。本作のコンセプト「決意」そして「約束」のアレゴリーとは~初心忘れるべからず~という事なのだろう。これは“今”の東京女子流に対してであるし、また本作を聴いた私たちに対するメッセージだ。そこには前作の痛烈さは無く、とても愛情に溢れている。彼女たちは昨年、日本武道館単独公演というひとつの大きな山場を越えた。最年少記録も樹立した訳だが、それらは全てもう過去のこと。大切なのはこれからどうするのかということ。今もう一度あの頃のまぶしい約束「キラリ☆」を「追憶」しつつ、決意新たに前に踏み出していこう、と言うのが本作『約束』に込められたトータルコンセプトと見ている。TRFカバー#09「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」も単にアルバムに組み込まれたのではなく、「キラリ☆」の彼女たちから「未来はあなたたちに託したよ!」とエールを送っているのだろう、と思うとなんとも幻想的ではないか。余談ではあるが、#12「約束」はスタッフから女子流ちゃんへ贈った楽曲という物語がある。なるほど…。私の妄想は正解ではないが、大きくは外れていないだろう。やはり、女子流ちゃんには幻想があるよ。

~NEXT女子流の予感~

 感動的過ぎるフィナーレの後には様式美に従って#13「Outro」で本作の幕は下りる。で、これまでの仕掛け通りであれば「Outro」は次の作品への橋渡しであると同時に、NEXT女子流の作風を予感させるもの、と予想がつく。中身は4つ打ちのクラブ・ミュージックそのもので、今までの東京女子流には無い雰囲気だ。ここからどんな楽曲が生まれるのか楽しみは尽きない。

 #14と#15はボーナストラックで#15のリミックスは通常版のみ収録。8分もある松井先生の趣味全開でベースラインが際立って良い感じ。他BD付きやDVD付きもあって、当分の間は『約束』を楽しみ尽くせそうだ(全形態買った人)いやぁ、本当に最高傑作だ。一言で片付ければそれで済む話なんだけど、結局ここまで書いてしまったなぁ。それだけインスピレーションを刺激する傑作だったってこと。2013年が始まってまだ1ヶ月しか経っていないが、早くも音のアルカディアの誕生ですよ。これは2連覇も見えたな!いやぁ、めでたい!実にめでたいよ!

年間ベストを書いた時点で燃え尽きる、と言うのが恒例のごきげんよう竜美です。
絶賛サボってますが、今年はこんなペースでやってくつもりなので一つ宜しくお願いしますね。
冬コミの戦利品で一番心を持っていかれたのは結局『ミニロボベータ』くらいだったかな。
圧倒的に面白かった!これについてはどこかで記事を投下したいなぁと思ってます(ただし願望

さて1月はほぼアイドル月間でしたって事で一つ投下。
最近娘。の52枚目のシングル『Help me!!』がリリースされた訳ですが、これとミレニアムタイトルの『One・Two・Three』をマッシュアップした結果が滅茶苦茶カッコイイという件。



エレクトロな2曲は元々相性が良さそうだが、実際にマッシュアップされると『One・Two・Three』がEDM化してカッコイイのなんの。娘。の123は特に好きだったからこれは衝撃でした。とはいえ、こういうのは予備知識があった方が楽しめるので、それぞれ原曲を貼っておきましょう。





やっぱ、原曲の方が良いかもしれない(ぉぃ

2012年もお疲れ様でした。
周囲から「年間ベストまだー?」言われてた様で、お待たせして申し訳ありません。
お待ちかねかどうかはさておき、毎年恒例の年間ベストのお時間でございます。
今回は
【洋楽部門】
【邦楽部門】
【同人部門】
【LIVE部門】
以上4本立てで行きます(長いです。テンション変です。

Title:アムヴェリテの鎖
Artist:Cleshe
Release:2012/10/28


-Track List-
01. 狂気。或いは―
02. 時として鏡は生贄を喰らう
03. 罪人はただ美しさを貪る
04. 幸福な愚者は結末を知らない
05. 醜い誇り故に、無垢は穢れ易く
06. Memoire ~レフィエリテの回想録より~

-Total 29:59-



◆2011年の覇者が一年の沈黙を破り帰ってきた!!

 去る2011年、2nd『祈る少女のヴェレクロワ』で覚醒劇を魅せ、続く3rd『偶像少女輪舞』では更なる覚醒劇と衝撃的な物語構想を提示し、見事2011年の王座に輝き(特に賞品はない)わたくし竜美悠が主宰する溺愛ファミリー又の名を“夢檻の会”(?)の仲間入りを果たした、音のアルカディアの一角Clesheによる一年振りとなる4作目で、まさかの2枚同時リリースとなっている。しかし、通産のナンバリングは2枚ともに4thを冠する。つまり、そういう作品だと言うことです。2nd『祈る少女のヴェレクロワ』の応用編が3rd『偶像少女輪舞』とすれば、その応用と発展が4th『アムヴェリテの鎖』と『レフィエリテの鏡』と位置付けることが出来るだろう。即ち、Clesheが編み出した対の魔術が更に深化しているという事なんです。

~ディープ且つアン美エンスに深化したクレシェ~

 4thの片割れ『アムヴェリテの鎖』は元来秀でていた静謐と神秘のサウンドスケープ、ポスト・クラシカル且つニュー・ウェイヴィーなエレクトロ・アンビエント・ゴシックが更にディープに凝縮された作風といった第一印象を受ける。元々Clesheの静の楽曲を評価していた私にとっては、正に求めていた理想の作品であり、個人的には大変嬉しく思う。と、同時に只管閉塞している内省的作風は聴きやすいか?と言えば、やはり作り方自体が病んでる為、聴きやすくはないだろうとは思う。では、どうして極端に静の作風に成っているのか、と言うとそれは相方の『レフィエリテの鏡』も聴いて読んでいくと朧げに見えてきます。まずは本作クラシカルなドレスを身に纏ったアムヴェリテちゃんの『アムヴェリテの鎖』から触れていきます。


01. 狂気。或いは―
 神経質に鳴り響く電子音のフェードインとブレイクで4作目の世界へ一気に引き込まれる。淡々とした単音を奏でる鍵盤と平坦なリズム、気味悪く揺らぎ蠢く電子音、淡白に紡がれるなゆな嬢の歌声、呪術の如くリフレインするコーラス・パートの歌メロ、それ等からどうしようもなく滲み出る陰鬱な閉塞感、ネガティヴでミステリアスな雰囲気はCleshe史上最高と言っても過言ではない。今回のClesheはまた一段と病んでしまった。その病み具合から来る間の配置と無音、エフェクトの使い方は以前にも増して更に磨き掛かっている。地を這いずる様に呪術的に紡がれる≪手に掛けた十字は重く~≫と≪蝶よ花よと謳われて~≫のフレーズは催眠の如く脳に刻み込まれる。この時点では何を言ってるのか全く分からないが、『レフィエリテの鏡』まで通過して戻ってくると分かる。この楽曲が4作目の入り口だったのだと。即ち、4th Albumのオーヴァー・チュアであると。ヴァースに散りばめられたアムヴェリテちゃんの心の内の吐露もしっかり拾って頭の隅に置いておきたい。


02. 時として鏡は生贄を喰らう
 ホラーテイストの雰囲気から一転して、オルゴール音が響く儚く可憐な雰囲気で始まる。ここからが本編ですよ、と非常に分かりやすいと思う。アトモスフェリックに包まれる厳かなアンビエントで紡ぐヴァース。鋭いバイオリンとチェロが加わり6拍子で優雅に紡ぐブリッジ。そこから更にチェンバロが加わり4拍子と6拍子を交互に緩急を効かせ、クラシカルな歌メロを奏でるコーラス。全体的にやはり淡いサウンドスケープながら緩急やリズムへの細かい配慮に私は惹かれた。この楽曲は2つの作品を行き来して聴き込む度に夢現(ムゲン)の連鎖に惑わされ、あまりにも考え過ぎると本作が孕む呪いに蝕まれてしまうので注意が必要です。マジで。ここで注目しておきたいのはブックレットに描かれた≪鏡≫と≪兎≫で、これが後々面白いことになる。後は下記リリックも頭に刻んでおきたいですね。

≪ねぇ いつからか ねぇ いつからか≫
≪逆さまの世界に染まっていたの/溺れていたの≫



03. 罪人はただ美しさを貪る
 只管陰鬱アンビエントで紡がれる「今回のClesheほんとーに病んじゃった・・・」的な楽曲で、特にヴァースはリズム感そのものまで排除したビートレスの音像が重苦しい。コーラスではポスト・クラシカルの端整なサウンドスケープに若干の安息も得られるが、アムヴェリテちゃんの狂気が剥き出しになる場面でアンビエントに切り替え、空間を隔離する辺り、やってくれるな、と思わされる。全てのリリックを読んでいくと、アムヴェリテちゃんのキャラクターも見えてくるし、後々現れる夢現(ムゲン)に包まれた一つの問いを考えるのにも必須となる。が、やはり考え過ぎは呪われるだけなので程々に。で、ここでもブックレットに描かれた≪鏡≫台と≪蜥蜴≫は押さえておきたくて、リリックとリンクするので非常に重要です。あと、アウトロのフェードアウトする最後の最後の意味深な溜息も注目しておきましょう。


04. 幸福な愚者は結末を知らない
 本作は徹底してどの曲も暗い。ヴィオラの悲愴な調べで始まるこれもそう。ヴァースはドローンとストリングスによる鬱蒼としたサウンドスケープに包まれる。なゆな嬢のか細い歌も絞り出すような表現で、今にも暗鬱の空間に蝕まれてしまいそうなムードが大好きだ。何故か和音階を挟み(このアクセント大好きですけどね)、ニュー・ウェイヴ・ゴシックの耽美な躍動感で跳ねるブリッジへ。そして、再び何故かの和音階を挿入してニュー・ウェイヴィーなコーラスへと移る。ヒステリックな悲鳴を上げるストリングスの音色がキツく耳に刺すのが印象的で、アムヴェリテちゃんの自傷が綴られたリリックもエグい。先に言ってしまえば、アムヴェリテちゃんに罰が下ったシーンだ。果たして誰が?何の為に?と頭の片隅に残しておきましょう。ニュー・ウェイヴ・ゴシックの舞踏で踊る間奏を経てのヴィオラ・ソロ部分の緩急とブレイクからのツー・コーラス目への導入が良いね。ツー・コーラス目ではなゆな嬢の病み(闇)への憑依がエスカレートして、消え入りそうな儚さがより陰鬱なムードを滲み出して胸にクる。特にヴァースの≪~藻搔いている≫の抑揚とブリッジの≪感じないはずなのに・・・ 感じないはずなのに・・・≫の2回目の方に絶望感、喪失感が滲み出ているのが堪らない!さて、この楽曲でもピックアップしておきたいリリックが幾つもあるが、前述した事とツー・コーラス目にある≪誠の愛≫を気に留めておけば充分かなぁと思います。


05. 醜い誇り故に、無垢は穢れ易く
 #01の様な神経質に嫌に触れる電子音の揺らめきと不気味な蠢きに加え、ポスト・クラシカル且つシネマティックな空間演出でゴシック様式美と現代音楽の実験的融合アプローチを魅せる。ミニマリズムな進行にエレクトロニカの水々しい揺らぎのヴァース、ゴシック側へと傾倒するコーラス、不気味に反響する打音が印象的なブリッジを挟み再びコーラスに。左右交互に鳴り響く神経質な電子音からチャーチオルガンによる上昇、そこからシネマティック・オーケストレーションで厳かに開きつつも閉じていく構成と演出に鳥肌。抑揚も素晴らしいな!間奏を経て再び現代音楽的なヴァースへと終息する。全体的にやはり以前にも増してブラッシュアップされているし、何より出来が良いし、新しいアプローチも面白くて好感触だ。で、面白いのはそれだけではなく、4th Albumに存在する境界線(ボーダーライン)を破壊して繋ぐ要素がココに仕掛けられていた、と後々気付く事になる。ホント今回のClesheは前作以上予想以上にヤリ手なんですよ。創作への気合を感じるね。最後に本作が面白くなるキーワード≪最初の裏切り≫、これを一つの問いに後でうだうだ妄想してみましょう。


06. Memoire ~レフィエリテの回想録より~
 Clesheの超大作と言えば前作の「黙想鎮魂花」で、10:56と言う数字を見て「は?」と一瞬言葉を失う不意打ちを喰らって、しかもかなりの説得力を誇った出来栄えだったりして黙って唸るしかなかった・・・非常に驚愕させられた記憶がある。正直Clesheというサークルを見縊り過ぎていたと一気に認識を改めさせられた。あのインパクトから一年、7:00ジャストとCleshe史上2番目の大作がこの楽曲。ここで初めてレフィエリテちゃんの名自体を目にするのだが、彼女の存在自体はこれ以前に幾度も目にしてきているのだ。#01~#05までがアムヴェリテちゃん本人の視点・内面を告白してきたとすれば、ここではレフィエリテちゃんから視たアムヴェリテちゃんの人物像という事で、即ち本作の楽曲全てを以てアムヴェリテという少女の人物像を補完する、といった作品設計なのだろう。大掛かりだな。。。楽曲はやはり暗鬱で、クラシックの厳かな空間とスピリチュアルな音響で抑揚に注意を払いながら丁寧に奏でていく。ハイライトとなるラストのコーラスでは最後に意味深なセリフが残される。これが特にしっかり拾っておきたい要素で、捉え方次第で全く変わるから妄想の面白みが増します。キーワードは大雑把に言って全て、としか言い様がない。あえて抜き出すとすれば以下2箇所かな。

≪希望を与えたくて アナタに全て与えた≫
≪心を亡くし 魂を穢し 理想を叶えたくて・・・≫



◆第一部総括
 クレシェ病んじゃった・・・じゃなくて、第一印象として私の大好きな作風である事は間違いないのだが、『アムヴェリテの鎖』単体を聴いた時点では正直言って名盤『偶像少女輪舞』を超えられないのはもう仕方ないにしても、化けの片鱗を魅せた『祈る少女のヴェレクロワ』を超えてはいないなと思った。でも、それは仕方ない。全部静かだし鬱いし、何か本格的に病んできてるしさ(作り方が)。そもそもコンセプトとベクトルが違うしね。リスニングタイプの現代音楽的作風にキラーチューン求める方が間違ってるってもんだ。しかし、それでも2週目以降に面白くなると言うか、作品が化けると言うか、そんな作り方をするのが最近のClesheだったりして、私の薄っぺらいファースト・インプレッションなんざ悉く破壊してくれる。そこに快楽を感じる!それが覇者たる所以なんだな!アムヴェリテという少女の補完と言う意味では本作は本作単体でおおよそ完結する。一つの作品として普通に楽しむ事も充分可能だ。が、足りない部分・・・残された謎や問の方が多いもの事実で、忘れてはならない≪鎖≫もある。それらを紐解いていく為にはピックアップしていったキーワードたちを引き連れ逆さまの世界へ行く必要がある。何を境界線(ボーダーライン)とするか、過去現在未来夢現を幾度も渡り歩いて何が視えてくるのか。第二部へ続く。

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